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第二章

コンビニ沿いの道路を暫く歩いていると目的地が近くなってきた。

後ろからちょこちょことついてくる少年が「あそこです」と白壁にダークブラウンの屋根の一軒家を自宅だと指を差す。

……妙に嫌な予感がする。

念の為、少年と亮護を門扉の前に待たせて私だけ玄関まで進む。

申し訳程度にチャイムを鳴らしてから少年に借りた家の鍵を使って扉を開けると「あんた!!何なのよ!!」と少年の母が髪を乱して私に掴みかかった。軽く揉みあいながら玄関内に入り強引に扉を閉める。

後ろから私の名を呼ぶ声や、少年の悲鳴のような母に対する呼びかけが聞こえたような気がする。彼らには距離を取って貰っていて正解だったな。

私の胸倉を掴んだ手首を逆に握り返して「離せ」と威圧を掛けても彼女は血走った目を逸らさなかった。


「私は子供を正気に戻すように頼んだのよ?何でこんな傷がつくのよ?!」


力は大分落として打ったが影響が出たようで胸元には九字の名残で縦横に刻まれた火傷が浮かび上がっている。予想通りだ。


「求められる除霊はした」


重心を落とし掴んでいる腕を内から巻き込んで払う。元々着ていた服はUネックで掴む面積も少ないので簡単に解けた。軽く手で襟元を撫でつけ恰好を整えれば彼女は息を荒くして私を睨んだ。

暫く彼女の捲し立てる言葉を聞き流していると前触れもなく廊下の左手のドアが乱暴に開いた。

「みどり、近所迷惑だ」と静かに侮蔑と叱責を織り交ぜた言葉が響く。彼女の夫であろう男はドアの外に出てくるつもりはないらしく顔は全く見えない。彼女が叱責に震えて謝罪をすると満足したのか、再び扉の奥へと消えていった。


「……お宅の家庭事情は知らないけど、子供を否定して良い理由にはならないだろ」


「……あんたに何が分かるのよ」


先程の叱責があるせいか、彼女は感情的に喚くのは止め、顔を真っ赤にして唇を歪める事で怒りを表す。


「そんなん知らない。でも、アンタの自己否定に怜人を付き合わせるなって話」


スキニーパンツのポケットに右手の親指を引っかけ【子供と親は別の生き物】だと告げる。

あぁ、煙草が吸いたい。


「此方の世界を視聴き出来るのは殆どの場合は遺伝」


酒気を帯びた息を顔に近付けて「アンタからだろ?」と問う。敢えて主語は付けなかったが彼女は身を固くして何も言わなかった、沈黙は肯定と取って良いだろう。

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