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第二章

問題の日。

この1週間依頼をこなしていたが、どうにも何かをする気になれず、それ以外は買い込んだ煙草とアルコール漬けの日々だった。

栄養も不足しているのか、足元が覚束ない。

半死半生で事前打ち合わせの為にいつもの居酒屋の暖簾をくぐれば、見知った店員がギョッと此方を見た。

「凄い顔色してますよ」と亮護が慌てて自分の隣の椅子を引いた。今日は依頼人が来るから向かいの席を空けておくつもりのようだ。


「だったら休ませろよ……」


キンキンに冷えたジョッキにたっぷり注がれたビールを半分ほど飲んで私は力無く答えた。労働が辛い。


「分かりました。この間の打ち合わせの日に、任された仕事だと思って張り切りすぎてたなって、反省したんです……。これ、来週の分です」


渡された資料は4枚。大分と少なくなったそれに内心ホッとする。

最近、枯れ尾花のスカではなく除霊が続いてた。気力、体力を使うので、疲れに拍車が掛かっていたのだ。

「あー」と適当に返事を返して資料に目を通す。来週は建物メインの仕事らしい。


「ご飯、ちゃんと食べてますか?」


煙草を咥え、腰を落として椅子に持たれて資料に眺めていると亮護が横から問いかけてくる。


「最後にまともなもの食べたのは3日くらい前」


纏まらない頭でぐるりとここ数日の事を考え行き着いた答えを素直に伝えれば彼は「空きっ腹にお酒飲んだら胃に穴空きますよ。すみませーん!煮玉子と枝豆下さい!」と忠告と同時に店員に注文を通した。

確かにたんぱく質不足か、糖質不足。肌と唇のかさつきも目立つ。人前で食事をするのは好きではないが、そろそろ食べないと生命維持に関わるなと、あっという間に用意されたスピードメニューに箸を付ける。

ツマミを全て食べ終わる頃、不機嫌そうな顔を隠さない女性が店に入ってきた。

ぐるりと店内を見渡し、亮護を見つけるとスタスタと此方に向かって来る。


「彼女が依頼人の増谷みどりさんです」


彼はコソリと私に耳打ちすると立ち上がり、彼女に挨拶をして着席を促した。ドカリと座った彼女は向かいに座っている私を睨みつける。

まぁ、いつもの事だ。

関係ないや、と空になったビールのおかわりを頼めば、ますます目尻を吊り上げた。


「あの!私、依頼をしに来たんですけど!」


最早怒気を隠す気がないようで、咎めるように言う依頼人を無視して、ジョッキを受け取り「だから?」と問う。


「私はまだ依頼を受けるとは言ってない」


「なっ……!」


よく居るが、高圧的に出れば屈服すると思っているのがよく分かる。こういうタイプは好きじゃない。

「まぁまぁ」と亮護が相手を宥めななければ疾うの昔に帰っていた。

だけど、事前に聞いた話では今回の依頼は興味がない事もない。気持ちを落ち着ける為に煙草を取り出し、火を付ける。

いちいち此方の行動を睨み付けてくるが、話が進まないと思って諦めたのか何も言わなくなった。彼が「概要は伺っていますが、もう少し詳しくお話下さい」と促すと待ってましたとばかりに、彼女はベラベラと喋り出した。

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