今夜あなたの夢の中へ
ぼくが生きるのは夢の中
今夜はお庭に大きなモミの木のあるあのお家にいってみよう。小さな男の子の夢の中へ。
すやすや、すやすや。
ぷすぅ、ぷすぅ。
ぷんぷん。
目を釣り上げて怒ってる。
仲良しの女の子が絵本に夢中で、自分のこと見てくれなくて腹がたって、女の子が髪に結んでいたリボン、しゅるんてほどいて取っちゃった。自分があげた自分の好きな青色のリボン。取っちゃった。
ごめんね。泣かせて。
ごめんね。こっち向いてほしかった。
男の子の悲しみが詰まったリボン、握っていた手から抜き取って、持っていくね。
悲しい気持ちと一緒に持っていくね。
次は赤い屋根のあのお家、小さい女の子の夢の中にいってみよう。
すやすや、すやすや。
すぅすぅ、すぅすぅ。
えーんえーん。
顔を真っ赤にして泣いている女の子。
お友達とケンカして、お気に入りのリボン、髪に結んでいたのをえいって取られちゃった。
リボン取られちゃって悲しい。
お友達とケンカして悲しい。
眠りながら涙を流している女の子の涙をそっと拭って、枕元のクマのぬいぐるみの首元に青色のリボンをゆるく結んでみた。
クマにリボンも可愛いけど、きっと女の子のほうがそのリボンは似合ってるね。
ふわぁ。
ぼくも眠くなってきた。
ぼくの夢は誰にも内緒。
おやすみなさい。
あなたもよい夢を。
数ある作品の中から見つけてくださり、読んでくださり、ありがとうございます。
評価、ブックマークもとても嬉しいです。