インカル帝国のバルーンアンドロイド
ある、荒れ果てた荒野。
ここでは古来よりインカル帝国、サスガ帝国と、二つの帝国が互いに戦争を続けていた。二大帝国の争いに巻き込まれた荒野は完全に崩壊したも同然で、ひび割れた岩壁に囲まれながらなお、彼らは戦いを続けていた。
「やれ!やつらを一人も生かしておくな!」
あらゆる戦法を用いて、兵士達は戦いつづける。手榴弾、ナイフ、矢。あらゆる武器という武器が混在し、戦争は激しさを増すばかり。
「今日も荒れてるな」
この戦争が始まって長らく暗躍を続けるインカル帝国兵士、メストルはため息をついた。いつ、どの時代においても人の欲や悪意とはこう言った争いを何度も生み出しつづける。
そして…そのための武器もまた、人の手で作られるのだ。
「ねね!そろそろアタシの出番でしょ?もう出撃せざるを得ない!」
明るい声が頭上から降りてきた。
岩石の大地の上でたたずんでいたのは…巨大なアンドロイドだった。ヘルメットをかぶり、鉄のアーマーに覆われたボディ。その体格は40メートルに及ぶ。
彼女の名は通常ペミ。金の髪を風になびかせ、常に得意げな笑みを見せる愛らしいアンドロイドだ。風船のように膨らんだ巨乳、スラリとした華奢なウエスト。現時点では。
その巨体は戦場では当然目立ち、既に気付き始めてる者も何人か彷徨いていた。彼女はインカル帝国の切り札の一つなのだが…まさかこんなデカい小娘が切り札などと誰が想像できるだろうか。
メストルはペミの足を軽く撫で、次にその巨乳と腹に目をやる。何かを点検するかのように…。
「準備はいいなペミ…」
「勿論!さあさあ!早く早く…レッツ、バルーンと行こうじゃん♥」
そういうとペミはおもむろにしゃがみ込み、その巨乳をおろしてくる。
巨乳に隙間が開き、その先に鉄の機械が群がっているのが見えた。
これは…コクピット。彼女を操作するための部屋なのだ。
無人操縦も可能ではあるものの、人が操作したほうが動作に正確性が出る。ちなみにここが入り口なのは勿論制作者の趣味。
メストルは僅かに赤面しつつも、どこか申し訳なさそうにその中へと足を踏み入れていく。アンドロイドといえど、女の子の体内にお邪魔するなど…だが、ペミは大して嫌がらないのだから不思議な子だ。むしろ、喜んでさえいるような…。
「さて、いらっしゃい♥」
ライトが点灯し、コクピットが彩られた。ペミの内部スピーカーが彼を歓迎する。入口は閉ざされ、外部を照らすモニターが顔を出し、点灯。兵士達の驚く顔がよく見える。
ペミの内部に並ぶ機械達をある程度点検すると、メストルは椅子に座り、レバーに手をかける。
これは機械達を束ねるリーダーレバー。これを押し倒せば、他の機械の細かい操作が可能なのだ。
そしてその他の機械というのは…。
「…バルーンモードか。まさかこんな馬鹿げた機能が戦争で使われる事になるとはな」
「はあ!?馬鹿げた!?あんたもう一回言ってみなさいよ、おっぱいで潰すわよ!キレざるを得ない!」
やかましい声が内部に反響する。これ以上余計な事を言ってもキレられるだけ。メストルはレバーを引き、一言指示を出す。
「…レフトバスト、サイドバスト。エアーイン」
コクピットの機械が震え始め、そして響き渡る空気の流入音。
しゅううううううーーっ…無機質な天然音が鼓膜をくすぐる。
「ふあっ♥来た来たぁっ♥くひひひ♥」
税に浸るいやらしい声と共にコクピットが上下に揺れる。酔いそう。
外部では…ペミの巨乳に、変化が起きていた。周辺の空気を取り込み、更に膨張を開始したのだ。
地上の兵士の目線を集めながら、骨鉄のアーマーを押しのけてバストは膨らみ続ける。やがて兵士達の頭上を覆う二大巨大風船の出来上がり。
モニターでその膨らみ具合を確認したメストルは、更にもう一言。
「ベリー、エアーイン」
次に変化を始めたのは、腹だ。
平らな腹に勢いよく空気が流入していき、ボボンっと突き出す。ヘソはそのままの形を保ちつつも、表面は張り詰めて光沢を纏い出す。
妊娠している程度の大きさだ。今のところは…。
「ふはぁ♥ぱ、パンパンに膨らまざるを得なぁい♥エッチバルーンペミ、ここに見参っふううううっ…」
腹のおっぱいに、空気がドカドカ送られていく。次から次に、詰め込んで、詰め込んで…。
「…今日はいつにも増して膨らみやすいな。お前」
コクピット内で、メストルは若干引いている。ペミ自身を映し出した自己投影型モニターは、もう既に3つの風船に埋め尽くさレようとしている。
それにしてもよくできた構造だった。若い娘の身体構造…膨らみやすい特性を活かしていると言える。開発当時、このアンドロイドの腹に男たちが群がり、興奮の雨に包まれたという噂話もあるがあながち嘘ではないのかもしれない。
しゅううううううっ…と。空気の音がようやく止んだ頃には…。
「はふぅーーーっ……。膨張完了!もーパンッパン!」
風船は完成した。今やペミの身長は70メートルを突破。空気圧は100%となっており、全身がパンパンに張りに張り詰めている。
コクピット内で、メストルは両手を軽く叩いてペミへ指示を出す。
「よし、薙ぎ払え」「ら、ラジャー!ふうっ!」
空気が充満してる影響で少し遅れつつも、彼女はそのボディを振るいながら敵を薙ぎ払っていく。空気で補強されたボディは意外なほどに頑丈で、敵兵はあっさりと薙ぎ払われていく。
「た、ただのエロい巨大風船かと思ったら…!」「ちくしょー、違うのかよ!!勃起しちまったじゃねーか!」
岩壁へ叩きつけられていく兵士達。
想像以上の弾力と強さに、メストルは正直驚いていた。
「やっぱ未知数だなお前…」「ふうっ…アタシは風船だからっ♪このくらいパンパンになるのは普通よ♪」
彼女は笑いながらも明らかに苦しげ。空気を全身に詰め込んだのだから当然だろう。アンドロイドといえど内部圧力には抗えない。
とは言え、この巨体が武器になるのは確かだ。彼女はその体を振り回しながら、敵をなぎ倒していく。
…と、そこへ怪しい影が1つ現れた。
「…あのデカブツがペミか。体ばかりデカくて頭は無さそうだ」
現れたのは、赤いマントを羽織った一人の怪人。彼はヨーグルリー。本来はヨーグル島の番人だが、訳あってサスガ帝国の味方をしていた。
巨大なペミの暴れる様をしばらく観察した後、彼は妖しい機械をその場に設置する。
無空のパイプやコートがむき出し、未完成じみたその機械からは、電波が放出される。その電波は大気を伝う。
大気…すなわち、混じった電波はペミの体に吸い込まれ、腹の中へ。そしてAIに到達し…。
「…っ!」
コクピットが一瞬、怪しげに発光した。メストルは困惑し、ペミに声を掛ける。、
「お、おい。なんか変な光り方したけど大丈夫か?」
「…もっと」
「え?」
「…もっと、もっと、もっともっともっと…膨らまざるを得ないいいっ!!」
突然、暴走を始めた。彼女のなかの空気供給機能が暴れ始め、見境なく空気を吸い込み始めたペミは更に大きさを増していき、その巨体は80メートルにも迫り始めていた。
「おい、ちょ…」
「まだまだ…まだまだエッチ風船なんて言えないっ…こんなもんじゃ…こんなもんじゃああ!!!」
ぶおおおおおおおっ!!!!
豪快な音が鳴り響き、大地を揺るがす。兵士達は迫りくるパンパン風船から逃げ出し、転倒しそうになりながらも無我夢中で駆け出す。
槍や剣、鋭利な物は急いで取り上げ、ペミを刺さないように必死だ。
戦場はいつしかペミの独壇場と化していた。聳え立つ超巨大風船から、兵士達は円を描くように逃げていく。
「うぁ…もおっとっ…もっともっと…」
「もう限界だぞペミ!もう十分デカいって!そしてエロいって!」
「もぉぉぉぉぉぉぉっとぉぉぉぉぉぉっ♥♥♥♥」
いつの間にやらパンパンに張り詰めてきたその体。あまりの大きさに、荒野の地形すらやや遠慮がちに崩れ始める始末だった。
兵士達の姿はもはやない。あるのは、ただひたすらに巨大過ぎる…100メートルを乗り越えた超超巨大風船。
空気ゲージはとうに120%超過。コクピットは赤い光で激しい点滅を繰り返していた。
「まずい…!脱出だ!」
もはや猶予はない。ここは爆弾の中。こんな場所にいれば命が幾つあっても足りない。メストルが装置の1つを押すと、彼が座っていた椅子が持ち上げる。
そのまま天井が開き、陽光が視界を交差する。椅子までもが危機感を感じていたかのごとく、ロケットのような勢いで天へと飛び上がっていく。
ペミの超爆乳の間をすり抜け、椅子ロケットは上昇していった。
自身の腹とおっぱいに頬を挟まれながら、ペミはそれを見上げていた。動けない体…離れていくパイロット。
「…ンァッ」
声にならない声が、喉を通る。
バァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!!
轟音が荒野を貫いた。
圧縮された空気が、破片をまき散らす。それらは数km先にまで吹き飛んだという。
数日後。
「あー。あの電波、本当に勘弁してほしかった〜…」
「お前も本当に呑気だな…こっちは死ぬかと思ったんだぞ」
軍の格納庫にて、ペミは無邪気に笑っているのだった。




