風船姉妹の初膨張体験
その日も、姉、田ノ原里香と妹、田ノ原美香は互いにくつろいでいた。
日本は今日も平和だ。姉妹は互いにゲームしあい、テレビを見合い、ただぼーっと、適当に過ごしてる。窓の外も平和、何も事件など起きない。だからこそだろうか、2人は色々と物足りなさを感じていた。
「美香、暇だねえ」「そだねー姉ちゃん。…そだねーしか言えへん。まじでそのレベルで暇。あー」
ベッドで互いに意味のない下り。こんな下りももはや何回目だろうか。部屋の電気も陽光も体を温め、眠気を誘い、里香は意味もなく転がる。
そんな時だ。事件が起きたのは。
ピンポーン、とインターホンが鳴る。里香が立ち上がる。
部屋の角を曲がり、寝転がる美香を尻目に進み、玄関へとまっすぐ進んでいく。面倒ながらも、退屈を感じていた所だ。こういう事も暇つぶしの一環になるだろう。
「何…?え、誰」
そう言って、玄関の扉を開く。
「…あ?何で誰もいないのよ。折角出たのに」
そう、無人だった。見事なまでに誰もいなかった。何かを期待していた里香をあざ笑うように、そこにはただ…無が広がってた。あるのは無機質なコンクリートの柱。
な~んだ、悪戯か。そう思って部屋に戻ろうとした時…。
「…何これ」
段ボールが落ちているのに気づく。
貴方がたを膨腹の娯楽に招待致します。これを使った時、もう元のでは満足できないでしょう。
目指せ、巨大風船!
中身は…そう書いてあった白い紙と、エアポンプ。
リビングの床にそのまま腰を下ろしながら、姉妹は目を細めていた。丁度二本入っていた手押し式エアポンプ。交互に見つめ、細かい個所までマジマジと見つめる。
「姉ちゃん、こんなん買ってたんだねー。変態」「んな訳あるか!アタシがこんな趣味だと思うかこの野郎」
こんな物を頼んだ覚えは勿論ない。何故この家に来たのか、そもそも差出人は?
全てが謎のまま、新品の電灯だけがそれらを照らしていた。
「…まあ、差出人の目的は多分こうでしょ。若い娘の腹をパンッパンに膨らませる…!」
「あー、そういう趣味か…」
腕を組み、あぐらをかく里香。美香と2人暮らしのこの家庭。このエアポンプを送って使わせれば、膨らむのは若い娘である彼女らのみ。なるほど、確かに2人に膨らんで欲しい何者かの算段のようだ。
勿論こんな怪しい物を使うのは危険だとは分かってる。だが…二人はあいにく、退屈だ。
姉妹ならでは、息の合ったタイミングで立ち合い、そして…、
「顔も知らん変態さんの為に、やるか美香」「そんな姉ちゃんこそ、変態でしょ!」
そそくさと、互いの腹にあのポンプのホースを差し込んでいく。汗が互いの手を伝う。どうやら既に興奮していたらしい。これから巨大風船となる姉に、妹に、自分自身に。
「おおっ…!な、何かフィットした!」
「つ、冷たっ」
…シュコシュコ。
「おふうう!?」
里香がいきなり変な声を出すものだから、美香の手が一瞬止まる。その分美香のポンピングが多くなり、美香の腹のほうが里香よりやや大きくなった。
「ね、姉ちゃん、何今の声」
「な、何か気持ちよくてさぁ…」
…面白がる美香。お構い無しに、更にポンピングを続け、里香の腹も自身と同等の風船腹にしてやった。
日常感あふれるリビングに明るい声と空気が満ち、その空気は姉妹の腹の中へ。
どんどん膨らむ腹を上下に揺らす。中の空気が逃げ場を探してるようだが、まだパンパンではない。
「うおおおっ、な、なんか病みつきい♥」
テンションが上がった里香のピストンもなかなかのもの。美香の腹もかなりの大きさに膨らんでいた。
「ね、姉ちゃんちょい落ち着いて!?」
大きすぎる腹が触れ合い、へそが接触する。
腹は早くも天井へ近づいていた。二人は気付いてないが、机や周囲のものも早速倒し始めている。
「姉ちゃ!ちょ、まじ待って!?」「何だよ逃さんぞこの風船女!破裂させたるうう!」
シュコシュコシュコシュコシュコシュコ!!
無様な腹を晒しながら逃げようとする美香へ更にポンピングの追い打ち。腹はますます質量を増す。
部屋でこんな事を続けているのだ。当然、2人のスペースは狭くなっていく…。
「ちょ、おい…里香♥どけ♥」「いや無理♥腹がもうでかすぎて♥」
いつの間にか夢中になっていた。腹は張りつめ、部屋のほとんどのスペースを占拠し始めていた。もし今来客が来たら、特大バルーンパーティーと勘違いするだろう。実際は風船なんかよりもっと素晴らしい、娘二人のパンッッッパンな腹だが(個人的偏見)
ギギギ…ミチミチ…
不穏な音をたてながら、腹は天井を突き上げ始める。腹がほとんど過ぎてもはやよくみえないが、姉妹は顔を赤らめ、自分達の腹に包まれながら尚もシュコシュコしている。
そして…ドンッ!
家から…腹が突き抜けた。
「…」
2人同時に沈黙する。
屋根を突き抜け、肌色の超巨大風船が周囲に晒される。
住宅地は途端に騒ぎになる。当然だ。あんな巨大風船の出現、非日常の極み…。
が、姉妹はそんな事は気にしない。むしろ、これがさらなるトリガーとなったようで…。
「…もっとやるぜえ美香あ!!」「こ、来いや姉ちゃんん!!!」
シュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコ!!
腹は…面積を広めていく。ただでさえ巨大な風船が、家の壁を押し広げ、ゆっくり、ゆっくりと破壊していく…。
「田ノ原家がなんかどでかい風船に壊されてるぞ!?里香ちゃんたち大丈夫なのか!?」
そんな声が響くが、まさかそのどでかい風船が姉妹だとは誰も思うまい。
どごおおん!!!
ついに、腹は家を完全に壊した。あっけなく倒れた壁、その中央に聳える、30メートル以上もの巨大風船。
陽光に照らされ、目障りなほどに輝く腹に涎を垂らしながら、姉妹は互いを見やり、はあはあと息を荒げる。姉の、妹の無様な姿に興奮しているのだ。
「あぐああっ…!なんか、やばい…でもまだ表現上セーフセーフ♥」
言語すら発せず、手元に残されたエアポンプをほんの少しだけ押してまた互いの腹に空気を送る。
シュコ…シュコ…。無機質な音が、これ以上なくよく響く。
へその位置も分からない程に、腹は巨大化していた。
2人の真下には人々が集まり、思い思いに撮影している。
SNSの画面には風船姉妹のハッシュタグ。
もう既に正体はバレているようだ。
しかしもうそんな事は関係ない。これだけの巨体…止められる者などいないだろう。
さて、姉妹はしばらく高い視点で息を切らして興奮に酔いつぶれていたのだが、快感に刺激された脳が何かを思い出す。
手元のポンプの事だ。これが自分達の手元に行き着いたのは、差出人不明のあの段ボール…不明ながらもあれを送り込んできた誰かがいるという事だ。そろそろ限界を超えるところまで攻め込んでみようかと考えたが、どうせなら…これを送り込んできてくれた相手の目の前で極限に至りたい。そう考えていた。
「美香…動ける?」「いけるよ…」
2人は動かせる範囲の体を動かし、その巨体を器用に揺らし始めた。
ゆっくりした動きながらも、腹全体を突き出すように強調したり、短い手足を動かしたり、誰が見てるか分からないが、ウインクも挟んでみる…。
そして、こう叫ぶ。
「アタシ達、こおんなにパンッパンな風船と化しましたぁ…」「ポンプ送ってくれたやつ、ありがとお…いたら顔出してえ〜…」
街に響く、やや野太い声。巨大化に伴って声も変化していたのだ。その声はこだまし、少なくとも住宅地全体には響き渡っただろう。しばらく残響が残り、人々が思わずシン、と静まり返る。目が届く範囲…でかすぎる肌色を左右交互に見回していた。
すると…。
「いやぁー、こんなにでかくなるなんて素晴らしいね…」
はっきりとした声が聞こえてきた。
はっ、とした姉妹。顔だけを動かし、空を見上げる。
青空から一つの物体が飛んでくる。それは…1台のヘリだった。
ヘリは2人の周囲を旋回し、里香、美香の巨大な腹を見回すように動き回っている。腹の大きさで身動きが取りにくい2人は目でヘリを追う。
まさか、こいつがあのポンプを送り込んできたやつか?
「我々はポンプの研究をしていてね…」
こちらが聞く前に話し始めた。ヘリから聞こえてくるのは男の声。どこか興奮気味な、トーンの高い声だった。
「日々こうして女の子のご自宅にランダムでポンプを送り、膨らんでもらう。そしてこんな風にパンッパンに膨らんでもらい…ポンプの実験してるのさ。膨腹の素晴らしさをもっと広める為にね」
実験…つまり姉妹は実験台に使われたという事。そう考えると少々複雑だ。
しかしながらこうして快感の極致にたてたのもまた結果の一つ。もしこの男が本当にポンプを送ってくれたのなら、相応の光景を見せなければならない。
「…あんたがポンプ送ってくれたんだあ♪今のアタシら、でっかいでしょ…」
「ああ。とんでもないデカさで興奮してるよ…」
ヘリからはまた、興奮した声が聞こえてくる。
「でも…まだいけるだろ?」
やはりそう来たか、とばかりに姉妹は無意味に頷いた。腹は既にパンパン、空気はこれでもかと詰め込まれ、限界だ。それでも止める気もない。手元のポンプはまだ稼働する。
ここまで来たら…この腹に追い打ちをかけるより他ない。若い娘として、膨腹にかける情熱は負けられない。
「ねえ美香…これ以上膨らめば…アタシらどうなると思う?」
「…姉ちゃん、分かって聞いてるでしょ」
何気ない会話も野太く、響く。ヘリのプロペラが回る中、男の息遣いが僅かながら聞こえてくる。
しばらくの沈黙。あの声が響いていた分、街の静寂がどこか心地よい。だが…これから今までにない爆音が響くことになる事は誰も気付かない。
「…やるか♥」
シュコシュコ、シュコシュコ、シュコシュコシュコシュコ…!
不穏な程、音は鮮明に響いていく。
また、大きくなり始めた。もともとの家の範囲をも超え始め、2つの超巨大風船は前へ前へと突き進むように膨張していく。嫌な予感がしたのか、人々は後ずさり始め、背を向けて逃げ出していく。
「くいひひ!美香ああ!もっと空気いい!」「くるぢいい♥腹あ♥腹がっ♥」
上向きになった顔、ちらつく舌、赤らむ頬。ヘリの男はメガホンでも持ってるのか、やたら響く声で2人を応援し始めた。
「おお…良いぞ、素晴らしいぞ!!二人とももっともっとデカくなれ!街なんて覆い尽くすほどになれ!いや…もう街以上になってしまえ!無限に膨らむ勢いでデカくなれええ!」
ヘリの真下はみるみる肌色に侵食されていく。張り詰めた肌はゴムのように伸び、不穏な軋み音が聞こえてくる。
腹が建物に影を落とす。いつの間にか、直立した人間100人を縦に並べても足りないほど、腹は膨張していた。
マックでハンバーガーを貪っていた人、コンビニでアイスを買ってた人、歩道で事件簿を整理していた人。あらゆる者の頭上を、2つの腹が覆っていた。
家すら比較にならなくなった腹は、パンパンに張りすぎて動きが単一されてきた。波打つ事もなくなり、ただ静かに大きくなっていく。
シュコシュコ…シュコシュコ…シュコシュコシュコシュコシュコシュコ…
尚、逃げ遅れた人々は姉妹の下敷きにされ、高まった体温による熱に侵されている。
「あぐううううああああ!あっつ!?」
「あ、あ、あおおおおおイッツホットバルーン!!!」
姉妹は天国、人々は地獄。
腹の大きさ、今や数百メートル。そう。ついに百メートルの壁を越えてしまった。
今や頭は雲の上。白目を剥き、涎が止まらない。もはや狂気。呼吸も定まらない。大量の人々に迷惑をかけている自覚など微塵もない。
例のヘリは…今、美香のヘソのあたりを旋回していた。
「素晴らしい…妹の腹も凄まじい張り具合だ…空気量はガスタンク18000個分。それ以上か…!汗の一つ一つが眩しいねえ…」
そして、速度をつけて今度は里香の腹を目指す。美香の腹があまりに巨大すぎて時間がかかったが、なんとか到着した。
「姉の方もでかいねえ…妹よりも張ってる気がするよ♥ヘソもちょこーんと…こんなどでっ腹なのにヘソだけ小さいっ!」
写真も撮り始め、おかずにする気満々。
が、彼は気付いてない。
ここは危険地帯だと。
姉妹は、顔色を変え始めていた。快感のピークを過ぎたのか、赤い顔はだんだんと異常な熱を放ち始め、赤み自体も妙なほど濃くなっていた。口に何かを詰まらせたように頬を膨らませ、目の焦点が合ってない。所々に煙すら上がり始めており、限界は確実に近づいていた。
「……モー…ムリ」
「ネ、ネーチャ…アウ、ウアアガ…」
腹の所々から光が差し込め、汗が発光し、膨張速度が収まってくる。透け始める表面。
天空の巨大風船が、限界を迎えようとしていた。
「え、ちょ」
男は操作弁を握る手を止めていた。今さら気付いたようだが、もう遅い。
ミチ、ミチ。
ミチミチミチ…。
この時ニュースでは、耳を塞ぐよう報道されていたという。
姉妹は今や、世界最大の爆d
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンンンンンンンッ!!!!!!
ズガァァァァァァァァァァァァンンンっ……。
「はあっ♥間違いなく…」
「人生史上最高の経験だったねえ、姉ちゃん♥」
姉妹は仰向けで目を回していた。
田ノ原姉妹の膨張体験、ここにて終結




