お湯を飲み干す水風船
湯煙がたつ、ある温泉にて。
二人の男女が、ここへ訪れた。
白い煙で前がよく見えずとも、全身に温泉の熱が伝わってくる…二人は期待に笑みを浮かべていた。
一人は黒い髪の男。三十代後半くらいだろうか、少しばかり年季が入った顔をしていた。
もう一人は金髪に金の瞳を持つ女子高生くらいと思われる少女。
青いスクール水着を着ており、既に温泉を楽しむ気満々だ。
目の前に広がる大きな湯。
石に囲まれ、周囲には人工芝が生えている。観葉植物が部屋の端を彩り、正に温泉といった所だ。
「タケルさん、早く始めよう!」
「おいおい落ち着けユコ」
ユコと呼ばれた少女は今にもお湯に飛び込みそうだ。
タケルと呼ばれた男はリコを何とか止めている。
…そういえば、タケルはスーツを着ており、温泉に入る格好ではない。
やたら静まり返った温泉はどこか不気味な雰囲気が漂っているが…?
「よし、では入りなさい」
「はーい!いっきまーす♪」
ユコはタケルの指示を受け、忙しない足取りで温泉へ入った。
湯煙に囲まれながら、ユコは幸せそうに腰を下ろし、全身でお湯を体感する。
「ああ、良い気持ち♪」
…この時、タケルはユコを見て、何かを真剣に考えているようだった。
眉を釣り上げ、眉間にシワを寄せる。
しばらくすると、変化は起きた。
ユコのお腹だ。
ユコのお腹が温泉に入る前より明らかに張り出していたのだ。
じっと見てるだけでは分かりづらいが、彼女から一分目を背け、再び見れば、大きくなってる事が一目で分かる膨張速度。
三分程浸かり続けると、ユコのお腹はだいぶ膨らんでいた。
妊娠しているかのようなお腹だ。ユコもこのお腹の膨張には気づいてるようで、左手でお腹を擦りながら、右手でタケルにグッドサインを送る。
タケルも親指をたてる。
「良いぞユコ。その調子だ」
また、二人はしばらく動かずに時を過ごした。
入浴開始から5分後。
ユコのお腹は、ユコの顔の高さまで膨らんでいた。
両手でお腹を抱えながらも、尚入浴を楽しむユコ。
よく見ると、変化しているのはユコだけではない。
温泉全体にも変化があった。元々深さもそれなりにあった温泉の水位が、今では半分ほどになっている。
タケルはニヤリと微笑んだ。
「やはり、素晴らしい。君は水風船娘としての才能があるな」
嬉しそうに微笑むユコ。
そう、実は彼女、お湯を全身で吸い上げていたのだ。
彼女の大きく膨らんだお腹の中は、全てお湯。
熱を持ち、ほんのりと温かいお腹はまさしくお湯風船だ。
ユコ自身も押し上げられる大きさのお腹だが、尚もユコは残りのお湯をスポンジのように吸い上げ続けていく。
既にお湯が詰まったお腹に更にお湯が注がれ、お腹はどんどん大きさを増していく。
入浴から10分後…。
既に温泉のお湯は、足湯程にまで浅くなっていた。
あのお湯達は今や全てユコの中だ。スクール水着は中心から破れ、綺麗なお腹が露出していた。
ヘソが天井を向き、肌全体が白い光沢を纏ってる。
タケルの身長の倍近くまであるお腹が、温泉の中央に鎮座していた。
ユコは顔を赤くしながらお腹を撫でている。お腹の中からほんのり伝わる温かさで、水位が下がっても温泉気分は抜けなかった。
「けぷ…」
時々ゲップを出すユコ。これだけのお湯を溜めたのだから、さぞ満腹だろう。
が、まだ一応水位はある。
ユコは残りのお湯をデザート感覚で再び吸い上げる。
ユコに集まっていくお湯。巨大なお腹は僅かながらも更に大きくなり…一見今にもはち切れてしまいそうだった。
天井に向かって巨大化していくお腹に、タケルは拍手したくなるような気分だった。
そして、全てのお湯をお腹に収めた時、お腹は温泉の天井にくっつくほどの大きさになっていた。
温泉にはもう一滴もお湯はない。一人の少女のお腹に全て収まったのだ。