第5章~青い光と白い服の6人
すると、その瞬間、自分の上着の背中の辺りを、結構な力でグィッと引っ張られました。
「ハッ!」
そのショックで我に返りました。
そして、今の自分の現状をやっと知る事が出来たのです。
新小岩駅の快速線ホームに行った時は、東京駅寄りの階段を上がった中央にいたのですが、正気に戻った時は、あと一歩踏み出せば確実にホームから転落するであろう、ギリギリの場所に立っていたのです…。
もし、あと一歩踏み出していたら、前側と後側のどちらで転落していたと思うでしょうか?
その答えは、前側でも後側でも動いた時点で、確実に線路上に転落していました。
何故なら、自分の左足は半分しか地面を踏んでいなくて、あと半分はホームの縁から外側にはみ出していたからです。
自分は咄嗟にホーム中央寄りに移動しました。
そのほんの数秒後、自分が落ちかけたホームに、成田エクスプレスが地鳴り音を立てて通過していきました。
この一連の出来事にショックを隠しきれず、暫くホーム上のベンチで放心状態になっていました。
あの強めの青い光に晒された時は、その場所から全く動かなかったつもりでしたが、実際には複数の心霊を見た恐怖心から、無意識のうちにジリジリと斜め後ろ側に下がっていたようです。
それ故、我に返った時にはホーム上から落ちかける位置にいたのだと思います。
それと、自分の上着を引っ張って助けてくれた方を、振り返って探してみましたが、辺りにそれらしき姿は見られませんでした。
この時、普通に考えて分からない事ばかりが起こったのです。
新小岩駅の快速線ホームで見た白ずくめの6人は、恐らく地縛霊の集団でしょう。
自分と同じように、あっちの世界に連れ込まれた人もいたかもしれません。
その後に、こっちの世界に戻って来られた人もいれば、来られなかった人もいたのかもしれません。
自分は、宿直明けの疲れた状態だった故に狙われたのでしょうか…?
まずは、あっちの世界に連れて行かれなくて本当に良かったです。
しかし、いくら地縛霊の集団とはいえ、そこまでのパワーがあるというのは、通常じゃ考えられないない事です。
もしかしたら、この土地に何かあるのかも知れません。
よく言われる事ですが、自殺の名所と呼ばれる所から直線上に位置する所には、心霊が溜まり易い場所があるのだとか…。
聞いた話ではありますが、新小岩駅については、駅から比較的近いマンションでも悲劇的な事が起きているようです。
あと、自分を寸前で助けてくれたのは、多分複数の守護霊でしょう。
悪霊のパワーが強くて危なかったところを、守護霊の何方かが、更に神格が上の方が降りてきて引き戻してくれたようです。
新小岩駅には、地縛霊によるものやその土地に纏わる何かがあるのは確かなんでしょうけど、ここまで強いのはなかなか遭遇しないと思いました。
守護霊と思われる力によって我に返った自分は、その後に見えた光景にホッとしました。
強めの青い光を放っていた、あの巨大で縦型の鉄道用3灯式信号機も、6人の白い服の方々も、きれいさっぱり無くなっていました。
ただ、次の瞬間、自分の頭上からこんな声が聞こえたのです…。
「チッ…失敗したか…」
その声は間違いなく、白い服を纏った6人の方々の声でした。
直様頭上を見回しましたが、そこには何もいませんでした。
人身事故が多発していた新小岩駅の快速線ホームについて、ネット上でも、
「何故、あの駅だけ飛び込みが多いのか?」
「何かがいるのに違いないだろう?」
…と、いった書き込みが、多数見受けられました。
その何かが、今回見えた光景に関係があるような気がします。
全身が白い服の6人は、現在もいるのだろうか?
ひょっとしたら、その仲間が増えてしまってはいないだろうか?
もし、その集団に引き込まれた場合は、不自然な感じで斜め後方に進みながら、ホームから片足を踏み外させるのであろうか?
謎が多いのままでしたが、その日は助かった事に感謝しながら1日を過ごしました。
余談になりますが、他の人よりも霊感が強いと感じる方は、よく神社仏閣を参拝されているでしょうか?
浄化と守護力が高まりますので、継続して参拝するのをお勧めします。