fester-積年の想い-
あのとき、あなたと別れて正解だった。
あちらでの出会いは素敵なものばかりだったから。
けれどなぜだろう、涙が止まらないの。
あなたの側にいると、苦しくなるの。
その知らせを人づてに聞いたとき、私はなにを思ったのだったか。
諸々の手続きを済ませて、近しい人たちはもう慣れた頃。
やっと私の耳に届いた。
仕方ないよね。あなた以外との付き合いは希薄なんだもの。
むしろよくこれだけの時間でここまで届いたもの。
伝えてくれたのは、私とあなたの関係を知っていた私の友人。そう、彼よ。あなたにも確か、話したことがあったでしょう?
彼は彼の同僚から聞いたそうよ。同僚さんの友人が親戚──つまりあなたのことで鬱いでいるって。同僚さんが気にするほどのことなんて珍しいからよく聞けばあなたのことだったからって、わざわざ私に伝えにきてくれたの。
お節介よね。
でもおかげでようやく、私はここへくることができた。
後で彼にはお礼をしなくっちゃ。
あなたにも。
こんなことがなければ、私はきっと、ここへ戻ってくることなんてなかったでしょうから。
ありがとう。きっと疲れたんでしょう。
ゆっくりお休みなさいよ。いまは休んでも誰も文句なんて言わないんだから。
疲れがとれたら、あっちに訪ねてきてもいいわよ?
きっとそのときには、笑って迎えるからさ。
ちゃんと、お礼をさせてね。