最悪の状況
さてこの状況、一体どうしようか。僕の体は完全に女になり、それから生徒会長は興奮して気絶してしまっている。暇つぶしでもしてればいつかは目覚めるだろうと思いスライダーに向かった。
だが一人でスライダーに乗るのもなんか心細い、誰かいないものか。そうだ、めぐりさんがいる。
「めぐりさん、ちょっと僕と一緒にスライダー乗ってくれませんか?」
クスクスと笑い声が携帯越しに聞こえてくる。
「ええ、いいわよ。それよりあなた、今の体どんな感じ?」
「最悪だよ。なんで僕がこんな目に合わないといけないんだよ・・・」
周りからの視線がすごいし、それになんだろう。嫌な予感がする。
「おーいお姉ちゃん、一人~?」
これは恒例のイベントというやつだ。普通だったらナンパ男が話しかけてきてそれをかばうかのように生徒会長が「俺の女に手を出すな」とか言って助けに来る。だがしかし、今生徒会長は気絶中、ってことは僕は今絶体絶命の状況に置かれています。
「い、いえ、いますけど・・・」
指さしたとこには生徒会長がいるが、心地よさそうに気絶している。当然覚めないだろう。
「あんなやつほっといてさ、俺と一緒に遊ばない?」
「すいません・・・!?」
ナンパ男の顔を見てみたらなんとそいつは猛だった。なんで僕親友にナンパされてんだよ。
「ってお前誠二じゃね?」
おっと気づかれてしまった。どうにかやり過ごすしかないな。
「い、いえ、違います。私の名前は芽瑠といって、誠二の妹です・・・」
さすがにばれるかと思いきや、
「ああ~妹さんか!ごめんね急に!やっべ恥ずかしい・・・」
なんとかやり過ごすことができた。後で妹に謝っておこう。
「じゃ、じゃあ誠二君によろしくね!あは、あはは・・・」
ぎこちない笑い方だったな最後。
まさかこんなところで知り合いに出会うとは思わなかった。
「危ないだろ真理、一人で出歩くなんて」
体がびくっとし、後ろを見てみると生徒会長が立っていた。なんだろうか、いつもの生徒会長じゃない。
「あ、え、ええ・・・」
なんか分からないが背筋が凍りそうになるほどの身の危険を感じた。これ以上生徒会長の近くにいるとやばい気がする。
「あ、あの、私、用事思い出したんで、これで・・・」
帰ろうとしたが腕を摑まれた。
「まだ、これからが本番だよ」
と言って僕のことを人気がないところに連れて行った。一体何をされるのか。今の段階ではまだ予想ができない。
「な、何をするつもりですか・・・」
聞いてみる。
「大丈夫、じっとしてて・・・」
僕にゆっくりと手が伸びてくる。もうその場からは逃げられない。僕は覚悟をしようとしたがしきれなかった。やはり怖いものは怖い。
「ハイ取れた」
・・・取れた?
「え?」
「髪の毛に変なものがついてたんだよ」
ただ僕が勘違いをしていただけなのかもしれない。
「あ、あはは・・・」
生徒会長が持っているものを見た。それはめぐりさんとの通信ができる装置である。もしそれが無くなってしまったら僕はめぐりさんとの通信が途切れてしまう。
「あ、あの、それって・・・」
もう遅かった。生徒会長はそれを軽々と破壊してしまった。
「ああ、これね。全く、誰がこんな物騒なものをつけたんだ」
これからどうすればいいんだ。あれがなければ、僕一人じゃ何もできない。いや、できる!かも。
「あ、あのさぁ・・・才気君・・・もうプールはいいからさ、外に出て、え~っと・・・」
なんでこんな緊張するんだよ。相手はただの生徒会長なのに。
「うん、そうだね。外に出よっか」
外に出て周りを見渡した。不自然の茂みがどこにもない。てことはめぐりさんは今プールにいるということだ。ここから自分一人で頑張らなくてわ。
「俺んちにでも行こうか」
生徒会長の家に誘われたがここはどうすればいいんだ。ちょっとだけ好奇心が・・・
「う、うん・・・」
頷いてしまった。
「じゃあ今から車呼ぶから待ってて」
そういうとポケットからトランシーバーを取り出し、何かを言っている。
「後数分で作ってさ、それまで何してよっか?」
何をすると言われても何も思いつかない。
「そうだ、じゃんけんでもしよう。ただし、普通のじゃんけんじゃつまらないよね?だからさ、負けた方は勝った方の願いを一つだけ聞く」
「いいですよ・・・」
なんか変なルールが追加されたが勝てば問題なし。
「じゃあ行くよ。じゃんけん!」
僕が出したのはチョキ。
生徒会長は・・・グー
「俺の勝ちのようだね。だから俺は君になんでも一つだけ願いを聞くことができる。後でのお楽しみ・・・」
ちょっと待て、なんでもって今つけたよな。
「あ、あ・・・」
何故だ、なぜそれを言葉として出せない。
「着いたようだね」
やってきたのは車ではなくヘリコプターである。
「じゃあ行こうか」
ヘリコプターに乗るなんて人生でこれっきりだろうな。
(⌒∇⌒)