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ナポリタン

 朝倉さんが帰った後はほどほどに客は来た。今の時間は19時、夕飯時だ。今、店に変な客が来ている。変な客とだけ言うと心当たりが多すぎるが、常連の変な客だ。


「ニャンニャン、ご主人様。お帰りなさいませだニャ。今日はどうしたニャ?疲れてるんならアイラが元気づけてあげるニャ」


「帰ってきたはお前だ。さっさと席に座りやがれ」


そういってメイド服を着た客を座らせた。ソフィーヤがどうぞと言って水を出すと彼女はそれを一気に飲み干した。そして、大きく一息つくと天井見ながら彼女は言った。


「今日の客がマジでうざいので、ホントに。メイドなんて自分じゃやるもんじゃないわ。新人さんが多いからクレームが多すぎて今日もてんやわんやよ。新しい店だからしょうがないけど」


彼女は語った。本名は鹿野 幸。俺のうちの隣に住んでいるメイド、もといカリスマメイドらしい。昔からコスプレが大好きで部屋には大量の衣服が飾ってある。大体19時くらいになると俺の店に来て飯を食いに来る。いつもメイド服をきているわけではない。最近、バイト先が移転してそこのチーフになったと聞いた。


「今日も大変だな、幸。何でメイド服着てるかはしらんが」


「可愛くない?今日のオニューなの。あとでソフィーヤちゃんと一緒に着ようと思って。」


「まぁいいや。何食べる?」


「うーん。最近食欲がないのよね。美味しいものがいいわ」


「何だ、便秘か?」


「便秘じゃないわよ、この変態。なんてことを言うのよ。レディに向かって糞は詰まってんのかなんて聞くの?いい女はアナルの奥までビューティホーなので。しまりも最高よ、あなたとは違って」


「・・・あのー、他のお客さんもいるんですけど」


「ああ、忘れてわ。レディがこんな事言っちゃいけないわね」


「いやそうじゃないだろ。尻の話なだけに」


「「突っ込みどころが違う!!」」


俺と幸はゲラゲラと大笑いした。ソフィーヤはジト目でこっちを見ながら何かを訴えたが無視した。ほかの客もまたかと気にしていないようだった。一通り大笑いしたところで俺は幸にパスタでいいかと聞き、あんたのなら何でもいいわとありがたいお言葉をもらい厨房に立った。今日はどうしようか。あまりがっつりとしていなくてうまいものがいいかな。それにパスタか久々にあれを作るか。冷蔵庫から玉ねぎ、ピーマン、ウインナーを取り出し料理に取り掛かる。


 今日は一人分なのでフライパンで作る。水が少ないのですぐに沸騰するからな、これは意外と楽だからぜひ試してほしい。まずは玉ねぎ、ピーマンは薄切りにし、ウインナーは斜めに切っておく。その後、熱したフライパンにバターをしき、玉ねぎ、ピーマンをサッと炒めたら、水、コンソメ、塩を加え煮立たせる。沸騰したらパスタを半分に折って加え、くっつかないようかき混ぜ、再沸騰してきたらウインナーを加える。パスタは半分に切っていおくと茹でる時間が短いのと単純に食べやすいいようにしてある。フライパンの蓋をして、中火で煮込む、時々蓋を開け麺をほぐす。蓋を開け、ケチャップ、牛乳を加え、塩コショウもちょびっと入れて全体に絡ませいい感じになったら皿に盛り、粉チーズをかけたら完成。あと豆腐の味噌汁と簡単なサラダな。

 

「さぁ完成だ、五郎特製 喫茶店のナポリタン。茹でたてを食ってくんな」


こいつによく作ってやった料理のうちの一つだ、味にうるさいこいつを昔っからうならせる料理でもある。幸はパスタをフーフーと冷ましパクッと一口食べた。


「おいしい、この微妙に癖になる味がたまらないのよね。ウインナーと玉ねぎは私好みに少し大きめにカットしてあるのがいい感じだし。時より飲むみそ汁もまた格別ね。まさに喫茶店の味って感じだわ」


「なんか、あんま褒められてる気がしねーな」


いつも見る笑顔だが何回見ても人が自分の料理をうまそうに食べてくれるのはやっぱりうれしいもんだ。


「店長、私にも食べさせてよ。おなか減った」


時計を見るともう20時を回っていた。ほかのお客さんはすべてソフィーヤが処理してくれたようだ。今日はもう閉店にしよう。午前中に来た朝倉さんが言った言葉が胸に残る。


「うちで働かないか、君はもっと広い世界を見てもいいんじゃないか?」


いまだに俺のことを気にかけてくれる恩師の答えられないのを気にしないのも処世術の一つなのかもしれない。

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