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和風麻婆豆腐

俺の名前は 鈴木五郎。 飯屋の店長だ。

今は昼時、客が飯を食いに来ている。豚のようにブヒブヒとだ。

俺の店は大体最大10人程度しか入れない店なのになぜか外まで行列ができている。

こっちはトイレにすら行けない、飯も食えない。今日は下準備に時間をかけすぎてパンの1枚しか食えなかった。しかし、今トイレに猛烈に行きたい。猛烈にだ。まさに、糞ったれだ。

お客様という人種が俺が作った料理を片っ端から持っていく。こっちはほとんど食っていないのに、さらにすげーうまそうにだ。

ありがとうございます。そして、死ね。


ちなみに料理人は俺しかいない。自分の料理を勝手にアレンジや変なことされたくないからだ。ただ、バイトは一人いる。ボインだ。失礼。胸がとても大きい、豊満である。名前は「ソフィーヤ」知り合いに無理くり押し付けられたバイトだ。


「おい、ソフィーヤ。この豆腐ハンバーグ定食をもっていってくれ」


「はーい」


ちなみにソフィーヤは日本語はぼちぼちだ、ロシア語はあんまり得意ではないらしい。作者が別にロシア語が苦手だとかそんなことではない。


「おせーぞ。ハンバーグにどんだけ時間かけてんだ」


新顔の客が騒いでいる。首で合図してソフィーヤに対応させる。


「Что-то не так было? Свинья(何かありましたか?豚野郎)」


「・・・」


「Что ты делаешь слышащими?Ответ , если вы слышали (聞こえてんのか?答えろよ)」


ソフィーヤは笑顔で客を圧倒した。そして、客がだまって料理を食べ始めるとこっちに帰ってきた。


「次はこいつを持って行ってくれ」


「はーい」


ロシア語は悪口以外はあまり得意ではない。訂正だ。人間は間違える生き物である。


2時間ほどで客はほとんど捌けた。ちなみにトイレは間に合わなかった。ズボンの中は今タイタニックだ。

ケツが茶色の海に沈没している。一言でいうと最悪だ。二言でいうならスゲー最悪だ。


「店長、臭いよ」


「ああ、タイタニックだ。」


「訳が分からないよ」


と言ってまどか○ギカのQBの真似をした。鼻をつまんでいるというところを除けば若干似ていた。


「風呂入ったら、飯作るから今いる客の追加注文はなしだ。常連しかいないだろ、そう伝えとけ」


ソフィーヤは「いいんですか・・・。分かりました」とため息をついた。俺は食堂の裏にある自分の部屋からパンツを持って風呂に向かった。ズボンは洗濯してなかったのでソフィーヤのを持ってった。糞ったれだ。


風呂から出ると常連の佐々木の爺さんが一人いるだけだった。


「ゴロちゃん、今から飯だってね俺にも食わしてよ」


ゴロちゃんとは俺のことだ。


「墓に片足を突っこんでいる爺は黙ってろ」


「ゴロちゃんの料理はうちの死んだ女房の次にうまいんだよ。それともうちの女房に勝てないからそんなこと言ってんのかい?」


「ああ゛?上等じゃねーか、やってやろーじゃんか。」


安い挑発だ。しかし、俺の中での料理人の魂が「逃げちゃだめだ 逃げちゃだめだ 逃げちゃだめだ」と言っている。俺はミサトさんが好きだ。


「私はアスカが一番いいです」


「アスカもいいけどな」


さて、何を作ろうか。残り物を出してもいいのだが、ああ言われると出来立て以外は負け気がする。今いるメンツは爺、かっこいい俺、口が悪いロシア人。まったくもって統一性がない。

豆腐、玉ねぎ、豚のミンチ、白菜これで行くか。


まず、白菜、玉ねぎなどの野菜を一口サイズに切っていく。そして、豆腐は一口サイズよりもやや大きめに切る。フライパンに油をひき生姜、にんにくをいれミンチと玉ねぎを香ばしくしんなりするまで炒める。玉ねぎのいい香りがして来たら、水、麺つゆ、シャンタン、コチュジャンを入れる。蓋をして野菜からの水分がでるようにして煮詰まったら。水溶き片栗粉をかけてサッと混ぜる。ご飯をよそって完成。


「ほら完成だ、五郎特製の和風麻婆豆腐。冷めないうちに食ってくんな」


佐々木の爺さんとソフィーヤの前にそれを置く。ご飯と麻婆豆腐からは湯気がゆらゆらとゆれ、その湯気が鼻をくすぐる。少しの辛さと玉ねぎの甘い香りだ。玉ねぎは気持ち多めに入っている。

ソフィーヤ・佐々木「いただきまーす」

一口パクッと同時に口に麻婆豆腐を口に入れた。その瞬間から二人に笑顔がこぼれた。


「おいしい、ピリッとした辛さと玉ねぎの甘さがベストマッチですよ。豆腐も形がきれいに残っていい感じです。ケツは汚いですけど」


ほっとけ。


「うまい。おなかにも優しいし、辛さも爺のことも考えたな」


「ああ、これなら文句ないだろ」


「ああ、うまい。こりゃうまい」


佐々木の爺さんとソフィーヤは綺麗に完食してくれた。


佐々木の爺さんが帰ったあと、皿洗いをしているとソフィーヤは聞いた


「そういえば店長のズボン、なんかぴちぴちだな。太った?」


「いや、これお前のだから」


「は・・・?はい?」


「いや、これお前のだから」


大事なことだから二回言った。二回言ったら、二回どころか10回以上は殴られた。

正直は自分にも他人にも美徳である。

使いどころを間違えなければな。

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