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神サマ☆かんぱにー! 〜異世界で神は平社員〜  作者: 凛堂 りんさ
Ⅰ章 ~大天使誕生 編~
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Ⅴ話 女は怖い

 アテメと名乗った女性は、落ち着きを取り戻したようだった。

「ごめんねー、ちょっと考え事しててぇー。ゼウラ様がお呼びだからぁ」

 彼女はこっちに来てという合図なのか、俺に向かって手招きしてきた。

 

 周りからは、俺に視線が集中している気がした。

 左右に羽を生やした者、そうでない者が沢山いる。

 パソコンやプリンターこそはないが、ここはまるで会社のようだった。


 俺はとりあえず信用できる人がいないので、彼女についていった。

 そこで俺は、いくつか彼女に問ってみた。


「あの……質問、いいですか?」

 俺がそう言うと、彼女はにこっと微笑み、優しい口調で答えた。

「えぇ、もちろん。質問ってなぁーに?」

「……ここって天国ですか?」

 俺はおそるおそる言ってみた。


「いいえ、違うわ。ここは天界。天国は死んだ人が行くけれど、ここは神や天使、悪魔や死神が集う所よ」

 俺は言っている意味が分からず、頭の中がハテナマークでいっぱいだった。

「つまり……俺は死んでいない……ってことですか?」

「そう。貴方は死んでいないわ。世界で5つ、天界と人間界を繋ぐ道があるの。貴方はその道を通ってしまったのよ」

 彼女はふぅっとため息をつくと、少し足取りをゆっくりにした。


 俺は、まだ死んでいない――!?

 つまり、また生きていけるってことか!


 そして俺は、生前の天使に何か関連があるのかと思い、質問をした。

「あと……ラファエラて人?否、天使?ご存知ですか?」

 彼女はその質問を聞いて、歩いていた足を止めた。


「ラファエラに、会ったの!?」

 やっぱり、あの天使というのはどうやら嘘では無いらしい。

「えぇ。神社の祠で……彼に突き飛ばされてここに来ました」

 俺はそう言うと、彼女は呆れた様子だった。


「ラファエラったら……!祠を封印し忘れたのねぇ!」

 穏やかだった彼女の顔が一変、険しい顔になった。

 俺はそんな顔を見て、少し……否、かなり身震いした。

 女って怖えぇーっ!


 暫く歩くと、彼女はドアの前で立ち止まって、カッカッとノックした。

「どうぞ」

 低い、おじさんみたいな声がした。

 彼女は重々しいドアを開けた。

 ギイィと、ドアの音がする。


 ゼウラ……って気難しい人だったりして?

 一応、この天界を統治されている方……なんだよな?

 立派な髭を生やし、立派な机に立派な椅子に腰掛け、いかにも社長。


「連れて来ました。どうやらラファエラが祠を封印し忘れた挙句、彼を突き飛ばして穴に落としてしまったそうです。人間の彼に非はありません」


 彼女は先ほどの穏やかな表情と優しい口調だったのに対し、キリッとした表情、凛とした口調で、いかにも社長秘書~な感じだった。

 女って怖えぇーっ!


 彼女が俺に非は無いと言ってくれたお陰で、俺は少し安心した。

 が、俺も俺で彼にしがみついたりしたから、彼だけに責任を問われるとなると……少し罪悪感が芽生えた。


「そーか、そーか。ラファエラが……全く世話が焼けるねぇー」

 あ、案外縁側でお茶飲んでる爺さんみたいな人だ。


 俺は安堵のため息をついた。


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