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神サマ☆かんぱにー! 〜異世界で神は平社員〜  作者: 凛堂 りんさ
Ⅰ章 ~大天使誕生 編~
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Ⅳ話 迷い込んだ子羊

「ぎゃあああああああっ!」

 枯れ切った汚い声をあげ、俺は真っ逆さまに落下していく。

 真っ黒な世界は、どんどん灯りが灯されていった。


 俺、どうなるんだろ――……?


 もう、どうでもいいや――……


 俺はただ、水が飲みたかっただけなのに。

 こんなに喉がカラカラな状態で死ぬのかよ……

 あっけなく、祠の穴に落ちて死ぬのかよ……


 せめて、喉を潤わせて。

 ちゃんとした身なりで。

 やりたいことをやって。


 それで俺は満足してから死にたかったのに……




「…………っ」

 俺は気を失っていたのか、目を閉じていた。

 なにか、とてつもなく柔らかい物の上に自分の身体が横たわっていた。

 綿のような物で、弾力があって、手を付くと押し返された。

 

「……どこだ?」

 辺りを見回せば、生前最後に見た男性と同じような格好をした者達が俺を取り囲んでいた。

 白い服、羽を生やして……天使、か?


「人間……じゃないか?」

「羽が生えていないわ、人間よ!」

「でも、どうやって……?」


 左右正面、どこを見ても羽を生やした人が俺を取り囲む。

 

 あぁ、やっぱりここは天国なんだな――?


「あのー、すみません。俺どうすれば……?」

 天国に来たという状況は飲み込めた。

 だが、実際天国に来たら俺は一体どうすればいいのだろう。

 何をすればいいのだろう。

 でも、誰も答えなかった。


「人間が天界に迷い込むなんて……天国から迷ってきたのかしら?」

「でもこの子まだ生きているわよ?」

「どうしましょう……ゼウラ様をお呼びになった方が……」

 あ、天国でも日本語なんだ?

 じゃあ俺の話は通じるんだ?


 ぼーっとしていると、瞬く間に物凄いギャラリーになってしまった。

 俺は唖然として、何も言葉が紡げなかった。


「すみません、俺――「はぁ~いっ、アテメよ~ちょーっとどいてねぇ~」

 背後から高くて甘ったるい女性の声がした。

 振り返ってみると、淡いピンク色のドレスを着た女性が歩み寄ってきた。

 栗色の長い髪をカールして、いかにもゆるふわという感じだった。

 周りの天使(?)達は左右に退け、彼女を通した。


「君が噂のー!お名前はぁ?」

 ずいっと顔を俺に近づけてきてた。 

「え、あ、はいっ、三佳恵天都と言います……」

「みかえ……っ!?ら……?」

 俺がそう言うと、彼女は少し驚愕した後、何か考え込んでいるようだった。


「えっと……どうかされましたか?」

 そんなに珍しい苗字なのだろうか……?

 まぁ、珍しいっちゃ珍しーだろうけど。


「い……っ!?いえっ、何でもないわ!ふふふ」

 彼女は俺の名前を聞いた時から、かなり動揺を隠せない様子だった。


 

 

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