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5話

市場から宿まで戻る途中、色んな人に声をかけた。けれど、見たこともない派手な女に信憑性のない薬となると、やはり警戒され販売までに至っていない。だよね。私も速攻お断りするわ。


せっかく希望が見えてきたのになぁ。項垂れながら歩いていると、ゴチンっと強い衝撃とともに目から星が出た。


「うぉうっ。ノォ~。」

「いったぁ。」


思わず頭を抱えてしゃがみこんだ。可愛くない私のシャウトに別の声が重なる。ん?


『大丈夫?彼女と頭がぶつかったようだよ。』


なんとか大丈夫だよ神様。しかし彼女とは…?目線をあげると同じく頭を抱えてぷるぷるしている女性がいた。


「オゥ…ゴメンナサイ。大丈夫ですカ?」

「いいいぃえ、こちらこそ、も、申し訳ございません。はっ、みみ、み道端の雑草のような私が大通りを歩いただけでも、おお、おこがましいと、そういった意味での大丈夫か、ということでしょしょしょしょしょうか?」


どもる割に早口な彼女は涙目でおろおろし始めた。


「イヤ、アノ…」

「あぁ、本当にももも申し訳ございません。しかしながら、私もこ、これからお勤めがございまして、ど、どうしても、こちらの道を通らねばならないのです。つつ辛いことですがっ。」


ちらっと話しただけでも性格がにじみ出てんなぁ。ちょっと心配になる細さだなぁと、のんきに観察している間も彼女はずっと謝罪し続けていた。周りからも注目を浴び始めてるね。これはまずいな。とうとうぺこぺこ頭まで下げだした彼女に私は手を勢いよく打ってパンっと大きな音を出す。その音にびくっとした彼女がこちらを見た。


「ちょっと落ち着こう、お姉さん。怪我は無さそうだね?後でたんこぶになったらゴメン。お互い悪かったってことで許してね。」


キャラとか言っていられないので言いたいことを素のまま話し、じゃっ、と手を挙げて挨拶する。彼女がポカンとしている間にさっさと去ることにした。


「あっ、あの…」


と彼女が何か言いかけていたが、


「気にしないで!」


と言い振り返らずに歩き続けた。今日はついてないしもういいや。声掛けはしないでこのまま宿へと戻ろう。


『ねえ、彼女に対して少し態度が悪かったのではないかな?』


え?神様もそう思う?でも長くなりそうだし、軽く謝ったし、彼女が仕事に遅れそうじゃない?私が悪くないとは思ってないよ。また会うことがあったらきちんと謝ろう。今日1番の個性的な人だったし、覚えてるでしょう。次に会った時には今より落ち着いて話ができるんじゃないかな。会えるかわからんけど。


「というか、もう挫折しそう~。自分で稼がなくてもいいけど、薬売りつけ…販売はしたいんだよなぁ。やっぱり行き当たりばったりで手売りするのはちょっと難しいかも。屋台の店主もよく買ってくれたよね。」

『もう少しがんばろう、挫折するには気が早いよ。別の方法も考えてみてね。』


露店でもいいからお店出した方がいいかなぁ?結局どうすべきか悩んだまま夜まで唸っていたのだった。



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