ただただ仲良し
「いやあ、なんかこのごろ眠れないんだよね」
お猪口をからにしながら、晴海は弱々しく言う。
「ああ、結構なことで」
「なんだろう、なんかもっと心配してほしいんだけど。」
じと目で、結城をにらむ。
「ん~、あなたはやばくなったら眠薬飲んで対処するでしょ。
寝れない時間をこれ幸いと、考え事のために使っているんじゃないんですか?」
「有効活用ね。まあしてるけど」
は~、とため息を吐く。
「かわい気がない。」
「いや、そんなの求めてないでしょ。」
「いやいや、求めているよ。
なんかおもしろいネタないかなあ、ってぐらい求めてるよ。」
「あ~、そうですか。」
めんどうくさくなり、結城もお猪口をあおる。
は~、と2度目のため息。
「比奈がいるときはちょっとかわい気があるのに。」
「そりゃあ、会長にはいつもお世話になっていますから。
あと、良い人だし。」
「うう、つれないやつめ~。」
静かな夜に、おいしいお酒。
くだらない戯言を楽しむ二人。
「ああ、まじで平和だな~。」
「平和。
私は週末の発表のための資料作成で召集されたはずなんですけど。」
これから修羅場ですよね、と結城は笑顔を作る。
現在午前1時。
「あ~、かたじけない。」
晴海は居住まいを正す。
「親にはあなたのところで社会勉強してくるって言ってきてるんで
一応きちんとした発表してくださいよ。」
ちなみに結城両親と晴海は同じ勤務先で、大きな発表をする場には、必ず結城両親が出席している。
「ふ、今夜も熱い夜をすごすことになるのか。」
「そうですね。びしばしいくんで今日は寝かせませんよ。」
ごごごごご、と結城の迫力が増す。
「うう~、ごめんなさい。」
「はい、じゃれてないで数字をまとめてください。」
近くにあった書類を晴海に押し付け、結城はノートパソコンを開く。
夜は長い。
「あ~、コーヒー持ってくるわ。」
「お願いします。」
午前6時半。
もうそろそろ切り上げていい頃だよね、と思い晴海は結城に声をかける。
許可をもらって、ダイニングに行くとそこには両親と比奈がいた。
「おはよう晴海。今日は朝ごはん食べていくの?」
「おはよう母さん。と父さんと比奈。
一応食べる。急で悪いんだけど、結局あいつ泊まったから、朝ごはん2人分お願いします。
あとコーヒー作るね。」
「ええっ。結城がいるのか!? あのあと帰らなかったのか?」
ちなみに昨日は夕食を食べてからしばらく雑談し、晴海と結城は2人で部屋に引き上げた。
「そう。
あと、家族団らんの朝食の場に顔を出すのも気が引けるって言ってたから、朝食は持っていくね。」
そういえば、と自分がパジャマ姿であることに気づいてわたわたしている比奈をよそ目に、晴海はちゃっかり必要なものを持って自室に戻った。
「戻ったよ~。」
「ん。」
眠気眼をこすりながら、結城は返事した。
「とりあえず、今日のお前のシャツは俺のを貸すから。」
「ありがとう。」
お味噌汁のいい香りが食欲をそそる。
そして、今日もまた一日が始まる。
未成年の飲酒。だめ!!
また、本作品にBLは存在しません。