お家へ帰ろう
寒い
とてつもなく寒い
それもそのはず外は粉雪が降っている。
はぁーっと手に息を吐きかけると、手先がじんわりと暖かくなり、僕が生きている事を確認できた。
さっさと家に帰ろーっと
それで「あっためてー」とでも言って、
あの子に抱き付こうかなぁあの子とも手を握っちゃおうかなぁ
通学路に積もる、真っ白いふわふわを見ながら思う。
「はぁー、真っ白だぁ」
吐く息までが白銀に光る
太陽の光が遠くの方に見える。
遠すぎて手を伸ばしても届かない太陽は、まるで僕の事を嘲笑うかのように輝いていた。
ふと、あの子の笑顔が脳裏に浮かぶ。
泣き虫な彼女の、幸せそうな顔
それを初めて僕が見た時も、雪が降ってた。
白銀の世界、日溜まりの中で笑うあの子は天使と見紛うばかりに輝いていた。
懐かしいなぁ
あれ以来まったく笑顔を見せてくれないんだもんなぁ
たまにはおしゃべりしたいんだけど......
もう無理かもしれない。
それに僕はあの子に対してあんなに酷い事をしちゃったんだから、少しは控えないと。
これ以上嫌われるなんてイヤだもん。
他にも人なんて有り余っているのに
僕をこんなに切なくて、甘い思いにしたのは彼女が初めてだ。
幸せな余韻に浸りながら傘越しに空を見上げる
パサッと傘の上の雪を払い、早足で歩く。
寒さのせいか、つま先の感覚がなくって行く
さぁ、早く家へ帰ろう。
勉強道具の詰まったカバンは少し重いけれど
早くあの子に会えると思うとそれすら軽く感じる。
ちゃんと大人しく待っててくれたかな?
抱き付いたら、怯えちゃうかな?
前に買って来た赤い首輪、
もう付けてくれたかな?
ぜぇーったいに離してあげないもんね♪
家へ帰ろう。
あの子が待ってる、僕の居場所へ
そこまで怖くはなかったかなぁと思います。
最初はピュアなのにー!
P.S.
いつまでも彼女の隣にいられますように
愛を込めて.....