VSからくりドール
「賞金狩りギルドはモンスターじゃなくて人間を賞金首にしてる所ですよ」
「分かってる」
「なんで行くんですか?」
「念の為だ」
人間を狩る、つまり殺人。
しかし殺すのは悪人だ。
モンスター狩りとは比にならないほど儲かるらしい。
どうしても、モンスター狩りじゃお金が足りない時のためだ。
流石の俺だって気軽に殺人をするほど外道ではない。
「登録は簡単なんだろ?」
「判断官ジャッジメントの質問に答えるだけです」
「質問って?」
「過去の犯罪歴とかです」
なら俺は大丈夫だな。
モンスターを殺すのは合法だからな。
◆◇◆◇
嘘言ってもどうせバレるということで素直に答えた。
何とか賞金狩りの資格を得た。
これで盗賊とかを殺しても犯罪にならず賞金をもらえる。
まだ昼だしギルドでモンスターの情報でも見るか。
簡単そうなのをキルして賞金ゲットだ。
ギルドのWANTEDモンスターはこの二体だ。
・からくりドール01
・サンダーダンサー
からくりドールの方が弱そうな名前だ。
だが、ここは裏をかいてサンダーダンサーに挑もう。
詳しい情報を見てみるか。
どれ。
No.2 サンダーダンサー
情報・踊りながら雷を出すモンスター。
雷に当たったら死ぬ。
出会ったら逃げろ。
出現場所・ヘムラヒートの丘
賞金・1000ロナ
「ヘムラヒートの丘ってどこだ?」
「東にある丘です。ここから徒歩二十分くらいです」
賞金が高いほうがいいかな。
取り敢えずからくりドールの情報も見て決めるか。
No.1 からくりドール01
情報・体全体が回転したり外れたりして攻撃を躱す
旧文明の魔物ロストモンスター。
飛び道具や体術は通用しないので注意。
出現場所・ロクトム山
賞金・1500ロム
ロクトム山…。
あの小さな山のことらしい。
1500ロムか。
戦ってみるか。
ドロップアイテムを提出すればいいみたいだし。
帰りは遅くなりそうだな。
多分大丈夫だろ。
何とかなる、かも。
「ご主人様、ロストモンスターは一筋縄には行きませんよ」
「大丈夫だ、多分」
金色の魔力砲ゴールデン・マジックキャノンがあるしな。
妖精女王だって居るんだ。
戦力的には十分だ。
「行くか」
「武器はその短剣だけで良いんですか?」
「大丈夫だ」
街を出て、山を登る。
モンスターを狩りつつ、からくりドールを探す。
山の麓あたりまで登ってきた。
前方から足音が聞こえる。
現れたのは、赤い髪と青い目の若い女性だ。
服装は、メイド服に似てる。
額に「01」と青色の文字で書かれていた。
「からくりドールか?」
俺の質問に対して、
「そのとおりです。あなたは人間ですか?」
感情のこもってない声で答えた。
「人間だ」
「…生命反応確認しました。これより戦闘モードに入ります」
からくりドールの目が青色から赤色に変わった。
そしてからくりドールは、紫色にぼんやりと光る薙刀を持っていた。
まだ心の準備が…。
ステータスが表示された。
からくりドール lv70
HP――――――――
245/245
MP――――――――
250/250
「攻撃スキル『炎の剣』を発動します」
※炎の剣
剣に炎を纏い攻撃する。
「妖精女王、魔術で何とかしろ!」
「妖精使いが荒いですね…。水の壁 アクアウォール!」
※アクアウォール
水魔術の防御技。
主に火の魔術に対して効果がある。
目の前に水の壁が現れた。
炎の剣なんてまともにうけるわけないだろ。
さて、反撃反撃。
首を短剣で切り落とす。
グロいけど我慢だ。
首を切り落としたから、動かないだろう。
と思ったけど、からくりドールは普通に動いている。
からくりドールは首を拾い、首を元に戻した。
不死身かよ。
仕方がない。ハイパースーパーDXでんじゃらすで殺してやる。
「妖精女王!ハイパースーパーDXでんじゃらすだ☆」
「はいはい。断罪の意思 メテオ」
※メテオ
隕石。
からくりドールは隕石の下敷きに…ならなかった。
というか爆風と岩の破片のせいで俺たちにまでダメージを与えてるんだが。
からくりドールは何故か数百メートル離れた場所にいた。
避難しやがったな。
「雷魔術でショートさせてやれ」
「ショート…? 神の雷 ヴァジュラ」
今度は命中した。
爆発はしなかったが、からくりドールは燃えた。
焼け跡にドロップアイテムがあった。
機械だ。
機械に関しては俺は専門外だ。
ギルドに持って帰ればいいだろう。
ギルドで1500ロム受け取り、宿に戻った。
何かスッキリしないのは俺の気のせいだろうか。