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異世界生活奮闘記  作者: 百万回自殺した猫
一章 冒険者入門編
7/11

冒険者


 あたらしい朝が来た。希望の朝だ。

 なんたって今日は街につくからな。

 三日ほどかな。

 野宿の日々は。

 下山は簡単だろう。

 降りればいいんだ。

 うむ。


「やっと街に行けるな」


「そうですね」


 ずっとモンスターの肉しか食べてない。

 正直、死にそうだ。

 お金持ってないけどな。


「何してるんですか、早くいきますよ」


「分かってるって」


 なんでこいつは考え事をすると、話しかけてくるのだろうか。

 寂しがりやなのか。

 それとも気づいてないだけか。

 嫌がらせか。

 全部ありそうだ。


「妖精女王って名前とかあるのか?」


「ありますよ」


「あるのか。教えろ」


「もう少し優しく聞いてくれませんかね…。」


「じゃあ、名前を教えてくれ」


「良いですよ。私の名前はユリーカです」


 ユリーカか。

 なんで異世界モノって西洋系の名前が多いんだろうか?

 まあそんなことはどうでもいいが。

 

「そうか、分かった」


 会話が続かない。

 ネタがないからな。

 さっさと街に行った方がいいな。

 別にこいつと話さなくても死ぬわけじゃないんだし。


 太陽が真上に登ったとき、やっと麓にたどり着いた。

 あと半分ほどだ。

 夕方にはつくんじゃないかと。


「夕方にはつくか?」


「私は街には行ったことがないので分かりません」


「街に行ってないのに、なんで魔人のこと知ってたんだ?」


「えっと…ほかの妖精達の噂話です」


「なるほど」


 じゃあこいつの知識は全部噂話なのか?

 信憑性がなさそうだな。

 だが俺自身こっちの世界の知識がないからな。

 しばらくはこいつの知識で我慢しよう。


 予想通り、夕方になって街に着いた。

 お金はないがアイテムはある。

 これを売れば少しのお金にはなるだろう。

 ゴールドスライムとかいうのが金を落としていったからな。


 街の入口は石の門と番人によって守られていた。

 鉄の鎧と旗を掲げてるところを見ると騎士団のようなものらしい。

 街に入ろうとすると、呼び止められた。


「この街に何の用だ?」


「観光です」


「身分証明書は?」


「持ってません」


「身分を証明するものは何ももってないと?」


「実は漂流してきたんです」


「漂流?」


「ええ。北の大陸から逃げてきました」


 因みに、妖精女王は見られたら困るので姿を消してもらってる。

 俺にだけ見えるようになっている。


「北の大陸から?」


「そうです」


「まあ、あの大陸は滅んだも同然だからな。分かった、通ってよし」


「ありがとうございます」


 勝手に北の大陸からの脱走者になり、街に入った。

 

 街はそれなりに人がいた。

 もう夕方だが、店は開いてるようだ。

 とりあえず、街を彷徨いてみよう。


「アイテムを売るのってどこで出来るんだ?」


「冒険者ギルドに決まってるでしょう」


「冒険者ギルド?」


「あそこです」


 ドームの建物が目の前にあった。

 どうやらあれが冒険者ギルドらしい。

 アイテム売って金貰おう。

 そして寝よう。


「すみません、アイテムを売りたいんですけど」


 受付に行き、話しかける。


「アイテム売買ですか。冒険者登録はしてますか? していれば買取額が10%上がりますが」


「登録はしてません」


「今すぐに登録できますがどうしますか?」


「いえ。明日にします」


「分かりました。それでは…結構多いですね。

100ロムで買取りましょう」


 100ロムってどのくらいだ?

 とりあえず巾着袋を受け取る。

 

「ありがとうございました。またお越しください」


 ギルドを出て、巾着袋を開けてみる。

 金貨が一枚入っていた。

 丸い金製コインだ。

 

「100ロムって高いのか?」


「高いと思いますよ」


「宿の場所って知ってるか?」


「知りませんよ」


 自分で探すか。


 十分探して、「月夜亭」というすこし大きめの宿を見つけた。

 料金を聞いてみるか。


「すみませ―ん」


 受付に人が居なかったので、大声で呼んでみた。

 数分後、女将さんらしき人が出てきた。

 美人だ。


「宿泊ですか?」


「そうですけど。料金は一泊どのぐらいですか?」


「朝食と夕食付きで20ロムです」


「え? まじ?」


「まじです」


 つい素が出てしまったが、本当らしい。

 あれだけモンスターを屠殺したんだから当然といえば当然だ。

 100ロムで五泊か。

 素晴らしい宿屋だ。

 

 この宿は酒場兼宿屋のシステムだった。

 酒はまた今度飲むとしよう。

 今回は水にしといた。

 飯はうまい、布団ある、女将綺麗。

 ここはどこのユートピアだ。

 

 

 ◆◇◆◇


 

 翌日。

 久々に布団で寝たから気持ちがいい。

 さて、朝食を食べてギルドに行くか。


「それではギルドに行ってまいります」


「ええ、気を付けてね」


 女将さん――ミリアさんとはすぐ打ち解けた。

 元冒険者だそうだ。

 結構有名だったらしい。大陸中で。


「冒険者登録をしにきました」


 受付に座っていた、昨日の受付嬢に話し掛ける。

 

「貴方は昨日の…。はい、それでは、この紙に必要事項をお書きください」


 渡された紙は、名前や出身地を書くものだった。

 とりあえず適当に書いていく。

 名前はレッド・リーフと。

 安直だがいいじゃないか。

 必要事項を全部埋めたので提出する。

 受付嬢はノーパソらしき物体を持ってきた。


「何ですか、それ?」


「これは旧文明の遺産(ロストアイテム)ですよ」


 旧文明の遺産(ロストアイテム)…。

 無駄にかっこいい名前してるな。

 受付嬢は俺が紙に書いた内容をノーパソに書き込んでる。

 そしてenterを押す。


 ノーパソに接続されてた黒い箱のようなものから、カードが出てきた。

 名前や年齢が書かれてる。

 

「冒険者について説明しましょうか?」


「はい、お願いします」


「冒険者とは主にモンスターを狩る仕事です。

護衛や採集などの依頼もありますが。

ギルドとは本来モンスターを指名手配するところです。

冒険者は指名手配モンスターを狩る賞金稼ぎです。

成果によって称号や賞品が授与されます。

規約などはありません。

有名になれば国から特典をもらえます。

以上です」


 冒険者になった俺は、賞金狩りギルドに向かうのだった…。

 

第一章 完?

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