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異世界生活奮闘記  作者: 百万回自殺した猫
一章 冒険者入門編
5/11

契約


 魔力制御の練習が始まろうとしていた。

 しかし、良く考えてみれば俺は魔力の「ま」の字も知らない。

 それを言ったら、妖精女王は暴言混じりに説明してくれた。

 

 魔力とは。

 魔力とはこの世界の全ての物に宿る力。

 生物、植物、道具。全てに宿る。

 知能を持たぬ、獣、植物、道具は魔力のせいで暴走することがある。

 それが魔物。

 しかし人でさえも魔力の制御が効かなくなり大変なことになることがある 。今の俺は魔力総量が神と呼ばれる存在並みにあるそうだ。

 その人…神はもう死んでるらしいが。

 しかし制御できてないとどうなるか。

 魔力を体内に容れきることができず、外に放出される。

 その魔力は空気に流れ込み、魔素と融合する。

 魔力の方が魔素よりエネルギー的な問題で強いので

 魔素と魔力が融合した場合、魔素は魔力に変わる。

 そうなると、徐々に魔力を奪い取られる。

 やがて魔力欠乏で死んでしまう…らしい。


 マジかよ。俺、死にそうだったのか。

 末期になる前に教えてもらってよかった。

 どうすればそれを回避出来るのか…。


「どうすれば、良いんだ?」


「そうね…まずは座って」


 彼女から指示された姿勢は…坐禅だ。

 瞑想すると魔力の流れが見えるらしい。

 目を瞑り精神を心の中に入れる。

 己の内面を見ろ、と誰かが言ってた。

 すると本当に何かが見えた。


 金色のドロドロしている液体が見えた。

 綺麗とは言えない。

 気が付けば、その液体は失明するかと思うほどの光を放った。

 俺は気を失った。気絶だ。

 

 目が眩んでるけど、一応気は戻った。

 なんで気を失ったのだろうか。

 理由は分からない。

 おそらく強すぎる魔力のせいだと妖精女王は言った。

 死ぬかと思った。


「次は何するんだ?」


「次は、魔力の制御よ」


 また坐禅だ。

 しかし今度は自分の溢れた魔力を見るためだ。

 内面を見るのではなく外面を見る。

 集中すると徐々に見えてきた。

 周りの空間が金色で埋めつくされていた。

 溢れている魔力、らしい。


「これ…どうすれば制御できるんだ?」


「自分の体に取り込むのよ」


「どうやって?」


「イメージで」


 魔素から分離させて吸収するイメージをすれば良いらしい。

 と言っても、一発でできるようなことではない。

 才能があれば二、三回で出来るらしい。

 神様補正で何とかなるだろ、と甘く考えていた。


 俺が馬鹿でした。

 十回ぐらいやても出来ない。

 コツがわからん。

 やったことないからな。

 

「搾り取る感じにやりなさいよ」


「こうか?」


「いっぺんに全部吸収できるわけないでしょ!」


 いっぺんに全部じゃなく、少しづつらしい。

 何事もイメージからだ。

 少しづつ、少しづつ。

 

 その後、何回かやって吸収することに成功した。

 しかしまだ溢れてる。

 やることはあと一つ。


「魔力の使用よ」


 定期的に魔力を放出する必要がある。

 無意識に、ではなく有意識で。

 魔術の一段階下の技、魔力操作術。

 極めれば、魔術に対抗できるものだ。

 どんなものかというと、魔力を固めて攻撃する。

 鉄砲の弾や大砲のようなものらしい。

 まずは銃弾から作る。


「小さく凝縮して…」


 小さく凝縮させて、回転させる。

 金色の銃弾の出来上がりだ。

 とりあえず撃ってみよう。


 ドッカアアアアアアアン!!


 地面に数メートルほどのクレーターが出来た。

 銃弾じゃないな。

 火薬を大量に詰めたものとかかも知れない。

 

「あんま減ってないぞ」


「そりゃあれだけで減るわけないでしょ。もっと派手なのやりなさい」


 派手なのって…。

 手を上空にかざして、魔力を送る。

 いっぱい溜まったところで、撃つ。

 

 手から、金色の太い放射線が出てきた。

 魔力がどんどん減って行く気がする。

 半分くらい減ったところでやめる。

 妖精女王は口を大きく開けて驚いている。


「どうだ?」


「凄いわ…」


 褒め言葉としては少し足りない気がするけど…。

 まあいい。

 今日のところはそのくらいで勘弁してやる。

 

「お前は魔術を使えるようになったのかよ?」


「ええ。多分ね」


 なら、問題解決か。

 妖精女王…さらば、とはいかない。

 あんなチートをこの俺が放っておくわけない。

 勿論ペット、もとい仲間にしてやる。

 

「おい妖精女王。俺の仲間(ペット)になれ」


「無理よ」


 なぜ、と聞いたら妖精女王は答えた。

 説明は…こんな感じだ。


 妖精。

 妖精を連れ歩くのは珍しい。

 姿を見れる人が限られてるからだ。

 一定魔力量があれば妖精の姿は見れる。

 しかし仲間になるかは別である。

 妖精には無数のランクがある。

 一番高位のランクが「妖精女王」だ。

 

 妖精との契約は三種類。


 一方契約

 妖精が勝手に契約する。

 万分の一の可能性である。

 妖精が気まぐれでやってるので、

 たとえ妖精の姿が見えてたとしても言うことを聞いてはくれない。


 二方契約

 立場は対等になるが、それなりに言うことを聞いてくれる。

 実力差がある場合は人間が妖精の手駒になる可能性がある。

 人間の魔力は常に吸収される。

 

 主従契約

 妖精を僕にする。

 一回魔力を与えただけで契約は成功する。

 これが出来るのは、大英雄くらい。

 凡人は目指すだけ、時間の無駄である。

 一般人進入禁止の領域。禁術。

 

「私は一番高位の妖精よ。頑張るだけ無駄よ」


「いや。主従契約をする」


 妖精女王はそれを聞くと、わずかに微笑んだ。

 そして話を続けた。


「いいわよ。死んでも知らないけど」


「やり方を教えろ」


 やり方は簡単。魔力を送ればいいだけ。

 そんなの赤ん坊でも出きらぁ。

 この俺のチートMPの前に全世界の住人は圧倒されるのだよ。

 調子出てきたな。

 このままポジティブにいければ…。


「じゃあ送るぞ。3・2・1・0!」

 

 一気に魔力を送る。出し惜しみはしない。

 送ってる途中に回復している。化け物か、俺は。

 力を送りつつ、回復する。


「げんか…。ちょ、やめなさ…!」


 発狂している妖精女王を尻目に満足いくまで魔力を送る。

 妖精女王の姿がはっきりしてきた。

 さっきまでぼんやりとしてたからな。

 だんだんとはっきりして七色の光がチカチカ光り出したところでやめた。

 目が痛い。


「これぐらいか?」


「…」


 体の隅々を点検している妖精女王。

 無反応だ。

 しかし、その後目を見開き。


「素晴らしいです、ご主人様!」


 こうして仲間(ペット)を手に入れましたとさ。

 街まであと少し…ではないが楽はできそうだ。


 

 

ぜつりん…

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