プロローグ
友達と別れて、ブレザーのポケットに手を突っ込みながらただ家に向かって歩いていた。
携帯音楽再生機に耳を傾けながら鼻歌を歌っていると、目の前に一つの小さな光が見えた。
なんだろうと思いながら足を速める。目はいい方である僕は、それはなにか、あと残り一〇〇メートルほどというところで気付いた。
白い、白衣。その真っ白な生地が、太陽の光を反射させていたのだ。
残り五〇メートルと言うところまで近づくと、白衣を着た人の特徴がわかってきた。
身長は僕より五センチ低いくらい。真っ白な、透き通るような肌。そして、風に揺られるきめ細かな髪に……青い、目。
その子は胸をそらして、何か探すかのように、背伸びをするかのように、空を眺めていた。
腰まであるロングのふわふわした金髪が太陽の光にすけている。手はまっすぐに太陽に伸ばして光をさえぎっているので、顔にはくっきりとした黒い手の影が映っている。
その姿がなんとなくきれいで、美しくて、僕は歩きながらその子のことを眺めていた。
残り、四〇メートル。三〇メートル。二〇メートル。
残り一〇メートルほどのところまで近づいた時、その子が、空に向かって伸ばしていた手を急に握りしめて軽くジャンプした。金髪がふわっと舞い上がり、羽のような形になる。
僕はこの子が、空に昇る階段でも見つけて、どこかへ消えて行ってしまうのではとふと思って、小さく「あっ」と叫んだ。
その声で僕の存在に気付いた彼女は、僕の方を向いて、空に浮かぶ黄金の太陽にも負けないような、満面の、輝かしい笑顔を浮かべた。
こんにちは。海星です。
この作品は、「空想科学祭2010」の参加作品です。
こんな未熟な私が参加していいものだろうか……とも思いましたが、参加しました。
ちなみに「超人になれる本」はまだ終わっていません。
お知らせしたとおり、忙しくてできないのです。
その「忙しい」には、今回参加させていただくことも実は少し入っていました。
なので、3月頃には再開します。
すみませんでした。