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若返った老騎士の食道楽~英雄は銀狼と共に自由気ままな旅をする~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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わしのせい?

さて、儂のお節介癖が発動しそうじゃが。


それは当然、相手に押し付けるべきではない。


なので、その場では頷き、別々に冒険者ギルドに向かう。


そして儂がオルトスを連れて入ると……視線が一気に集まる。


「うむ、やはり目立つか」


「ウォン?(なんか見られてるのだ?)」


「そりゃ、お主がいるからのう」


「ウォン(ふふん、我はフェンリルなので当然なのだ)」


……実際問題、此奴をいつまでシルバーウルフと誤魔化せるか。

今日も思ったが大分重くなってきたし、ここから成獣までは意外と早いかもしれん。

そうなると、色々と面倒なことになるか。


「……ならば、儂がランクを上げればいい。フェンリルを連れていてもおかしくないように」


「ウォン?(主人?)」


「いや、何でもない。さて、まずは掲示板を見てみるとしよう」


栄えてる街のギルドだけあって、中は結構広い。

故にアリア殿は見つけられなかったが、先に依頼を見繕うことにする。

掲示板を眺めると、魔獣や妖魔退治から荷運びや護衛など多岐に渡るが……その数に驚く。


「流石は栄えてるだけあって依頼も豊富じゃな」


「ウォン?(どれにするのだ?)」


「ほとんどの有り金を渡してしまったので、依頼料が高いものかのう」


「ウォン(かっこつけるからなのだ)」


「ばかもん、大人の男からカッコつけを取ったら何が残るというのだ」


と言いつつも、お金がなくてはどうにもならない。

そして、眺めていると……とあることに気付く。

討伐系や護衛依頼などは人気なのか数が少ないが、端っこの方に雑務系の依頼が多いことに。


「これは悪意で場所を変えた訳ではなさそうじゃな」


「ウォン?(どういう意味なのだ?)」


「紙の古さから、おそらく塩漬けになっている依頼と見た。長く貼ってあるので、新規の依頼ではないのだろう」


「ウォン(なるほど……まあ、主人に任せるのだ)」


「すまんな」


長年の付き合いから、儂がすることはわかったらしい。

儂は討伐系依頼を中心に、余っている依頼票を片っ端から手に取る。

そして、そのまま受付に向かう。

並ぶかと思ったが、何やら慌てて受付の女性がやってくる。


「あ、あの!」


「何じゃろうか?」


「その依頼を受けてくれるのですか?」


「うむ、そのつもりじゃ」


「ありがとうございます! では、こちらで少々お待ちください!」


そう言い、皆が並んでいるところから少し離れた場所に案内される。

そこには人は並んでいないので、席に座って待つことに。

すると、受付の奥から慌てて男性がやってくる。


「お待たせいたしました! あの、このご依頼を受けて頂けると……?」


「うむ、そのつもりじゃ」


「ありがとうございます! では、まずは手続きをいたします!」


「それは構わないが……どういうことじゃろう?」


いきなり受付嬢から、きちんとした身なりの男性に変わるし。

おそらく年齢は二十代後半、眼鏡をかけた真面目そうな青年である。

何より、対応が良すぎる。


「……これは大変失礼いたしました。まずは私はこういうものです」


「ふむふむ……なぬっ? ギルドマスター補佐?」


その名刺にはセドリックという名前とギルドマスター補佐と書いてある。

儂は冒険者ギルドには詳しくはないが、その地位が高いことくらいはわかる。

……何やら、色々と訳ありのようじゃな。


「はい、一応そうなります。実は……このような依頼を受けてくれる人を待っていたのです」


「ふむふむ、どういうことか聞いても? 別に今更辞めたりはしないから安心してくれい」


「はは、随分と古風な感じですね。ですが有り難いです……魔王を倒した英雄シグルド様はご存知でしょうか?」


「……まあ、儂の名前の由来になったくらいじゃし」


儂が冒険者カードを見せると、セドリック殿がため息をつく。

……儂、何かしたかのう。


「そういう方がいるくらいですから……確かに彼の偉業は素晴らしいものです。ですが、そのおかげで弊害もありました。彼に憧れた冒険者達が、《《分かりやすく目立つ功績を求め始めました》》」


「ふむ……英雄志望か」


「はい、その通りです。ダンジョン探索を求め遠くに行ったり、雑務系の仕事を嫌がったりと」


……これって、儂のせい?

いやいや、それは幾ら何でも。

じゃが、聞いてしまったからには気にしてしまうわい。


「つまり、それによって塩漬け依頼が増えてしまって困っていると?」


「はい、そういうことになります」


「……全部、儂がどうにかしよう」


「ほ、本当ですか!?」


「ランクによっては難しいが、出来る限りやるつもりじゃ」


「ありがとうございます! では、早速書類を作成いたしますね!」


そう言い、嬉しそうに奥へと走っていく。

残されたのは儂と、先程から静かにしているオルトスのみ。

その視線は……儂を哀れんでいた。


「ウォン……(主人……相変わらず難儀な性格なのだ)」


「いうな……儂だって思ったわい」


「ウォン(またユーリスに言われちゃうのだ)」


「それも思ったわい」


ため息をつくユーリスの姿がありありと浮かぶ。


じゃが、これもまた儂の責任じゃろうて。


……本当に我ながら難儀な性格じゃな。

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