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若返った老騎士の食道楽~英雄は銀狼と共に自由気ままな旅をする~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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30/46

男気

食事を済ませたら儂とアリア殿の出会いを語る。


それと同時に、アリア殿とメリッサ殿たちの関係もわかった。


どうやら、同じようなことをやっていたらしい。


「ほう、暴漢に襲われそうになったメリッサ殿に助けを求められて……やるわい」


「いえ、たまたま出くわしたので。相手は数名ですが、どうにか退治できました」


「それでも立派じゃよ。誰もが自分が犠牲になるのは恐ろしい……しかし、お主はそれを超えて困ってる人を助けたのだから」


仲間を見捨てて逃げる者、村の者を助けに行かず尻込みする者など様々だ。

そして、それを責めることはできない。

誰だって、自分が死ぬのは恐ろしいものだ。


「あ、ありがとうございます……ですが、シグルド殿だって同じことをしているじゃないですか。しかも、そのまま立ち去ろうとしますし」


「儂は成り行きじゃよ。それに、自分が好き勝手にやっただけじゃし」


「ふふ、お二人共似てますよ。アリアさんだって、私達に何も受け取らずに去っていこうとしましたから」


「ほほっ、なるほどなるほど。その縁で、ここに泊まることになったと?」


「まあ……そんな感じです。有り難いことに格安で泊めて頂けると」


「そうして、儂はそのおかげで良き宿に出会えたと」


やはり、何処でどう繋がるかわからないものである。

少なくとも、あの時の判断は正しかったようじゃ。


「これも、オルトスが気づいたおかげ……くくく」


「ウォン……(主人ィィィ)」


「情けない声を上げるでない。エルで慣れたであろうに」


「すぅ……すぅ……」


いつの間か、オルトスに乗っかってアンナ嬢が寝ていた。

此奴の毛皮はふわふわなので無理もない。

それに、子供には長話はつまらないだろう。


「す、すみません」


「いや、構わんよ。オルトスも嫌がってるわけではないのでな」


「ウォン(別に平気なのだ)」


「ふふ、優しい魔獣さんなのね」


その微笑みは魅力的で、暴漢に狙われるのも無理はない。

儂があと30歳若ければ……いや、姿は若いんじゃった。

しかし、中身はれっきとした枯れたジジイなのである。


「ええ、頼りになる相棒ですな。さて、ところで……気配がないが、他に泊まってる人はいるのかな?」


「今はアリアさんだけですよ。宿もやってますが、メインは食事処なんです。戦争によって夫を亡くしているので、女しかいないので泊まりはちょっと……」


「それは当然じゃな。いや、つかぬ事をお聞きしてしまった」


「いえいえ、お気になさらずに。では、お部屋の方に案内いたしますね」


アリア殿にオルトスを任せ、先に部屋に案内してもらう。

一階が食事処とメリッサ殿達の住居、二階が宿という扱いらしい。

確かに建物自体は広くなく、泊まれても3、4組が限界だろう。

儂が通されたのは角部屋で、窓を開けると大通りが目に入る。


「うむ、綺麗で良き部屋じゃな。喧騒は聞こえないが、人々の営みは見える。これなら、過ごしやすい」


「ありがとうございます。ただ、お安くはしますがお値段の方が少々……」


「無論じゃな。ひとまず、一月はいるのでこれで足りるかのう」


「こ、こんなに頂けません!」


儂は渡したのは金貨一枚、それは平民なら二、三ヶ月は軽く暮らせるほどのお金。

つまり、三倍近いお金になるので破格の値段だろう。

しかし、儂は押し付けるようにメリッサ殿に握らせる。

戦争ということは、夫が死んだのも我々の力不足が招いた結果だ。


「それほど、美味い飯に感動したんじゃ。もし多いと思うなら、明日からもよろしく頼む」


「ありがとうございます……実はお金には困ってまして。でも、生活費などは平気でしょうか?」


「男一人な故、それほどお金はかからんのでな。なに、明日から冒険者として稼ぐから安心せい」


「まあ……じゃあ、精がつくお料理を作らないとですね」


「うむ、そういうことじゃな」


正直言って、ほとんどの持ち金を渡してしまった。


しかし、メリッサ殿の顔に陰りが消えたので後悔はない。


……ユーリス辺りには、相変わらず美人に弱いとか言われそうじゃな。



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