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若返った老騎士の食道楽~英雄は銀狼と共に自由気ままな旅をする~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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強くなる理由

事件が解決して翌日、儂はローザ殿からしきりに感謝の言葉を浴びていた。


昨日から、ずっと頭を下げ続けている。


「だから、もう良いというのに」


「ですが……本当に感謝してもしきれないよ」


「なに、儂は己の欲に従ったまで。勝手に救った故、感謝はいらない」


「……本当に変わった御仁だこと。わかった、それではせめて旅立ちまではゆっくりしてください」


「うむ、かたじけない」


そこでようやく、頭を下げることをやめた。

すると、タイミングを図っていたのかアルトが話しかけてくる。


「シ、シグルドさん! お願いがあるんだ!」


「……聞くだけ聞こう」


「僕に戦い方を教えてください!」


「ふむ……答えは見つかったかのう?」


「……俺、弱いの悔しかった。結局、薬を取ってくれたのはシグルドさんだし、エルを助けてくれたのもシグルドさんだ」


「ふむ……」


「だから俺は……いざという時に、誰かを守れる強さが欲しい。それを成し遂げられる強さが……こんな理由じゃダメかな?」


不安そうに顔を上げるアルトに対し、儂は頭に手を置く。


「いや、良き理由じゃ。自分のための強さなど、高が知れている。もちろん、それで極める者もいるが……儂は個人的には好かん」


「え、えっと?」


「つまりは、合格ということじゃ。儂は……そういう者が好きじゃよ」


復讐のために強くなった儂なんかより、よっぽど立派な理由だ。

きっと、この子は良き青年になるだろう。

ならば先達としてすべきことは、この子を死なせないことじゃな。


「じゃあ……」


「長居は出来ないが、儂が戦いの基本を教えてやろう」


「あ、ありがとうございます!」


「うむ。じゃが……厳しくいくぞ?」


「が、頑張ります!」


「良い返事じゃ。それでは、早速やっていくかのう。適当な棒切れを二本持って来なさい」


そうして、アルトが嬉しそうに駆け出す。

それを見送り、ローザ殿に向き合う。


「ローザ殿、勝手に決めてすまぬ」


「何を言うのさ、礼を言うのはこちらだよ。あの子があんな顔を……ずっと子供だと思ってたけど、しっかり男の子なんだね」


「うむ、彼奴は立派な男じゃよ。それはきっと、ローザ殿や父君の育て方が良かったのだ」


「ふふ、嬉しいこと言ってくれるね。それじゃあ、私は腕によりをかけて旅たちまでご馳走するとしようかしら」


「ほほっ、それは楽しみじゃわい」


すると、アルトが二本の棒切れを持ってくる。


「これで良いかな!?」


「ああ、構わん。では、まずは剣の振り方から……」


そうして、儂はアルトの指導に入る。


それはとても懐かしく感じ、つい幼き頃のユーリスを思い出すのだった。


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