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若返った老騎士の食道楽~英雄は銀狼と共に自由気ままな旅をする~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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再会

 やはり、ゴブリンの数が多いのう。


 こんな町の近くだというのに、森に入ってすぐに十匹を簡単に倒してしまった。


 無事に依頼を終えた儂は、帰り道にそんなことを思う。


「魔王が死んで北の大地から、この地にやってきたか?」


「ウォン(あり得るのだ)」


「だが、倒さないという選択肢はなかった……しかし、儂の責任でもあるか。ふむ、各地にいる妖魔退治も旅の目的に加えよう」


「ウォン!(手伝うのだ!)」


「うむ、共に戦うとしよう」


 そんな会話をしつつ、町の近くに戻ってくると……門の前が騒がしいことに気づく。


「何やら騒がしい?」


「ウォン!(主人、門のところにアルトがいるのだ!)」


「……何か嫌な予感がする、オルトスもついてこい」


「ウォン!(わかったのだ!)」


 オルトスに目配せをし、儂は急いで門へと駆けつけた。

 非常事態かもしれないので、今回はオルトスも連れて行く。

 すると、すぐにアルトとロハン殿が気づく。


「あっ、シグルドさん!」


「これはシグルド殿……その狼は?」


「あぁー、後できちんと説明するとして……それより、何があったんじゃ?」


「……そうですね、今はこちらが優先ですか。実は、アルト君の妹であるエルちゃんが攫われてしまったらしいのです」


「何と……」


 すると、アルトが儂の足にしがみ付く。

 そのか弱い力とは裏腹に、熱い気持ちが伝わってくる。


「シグルドさん……僕、何にもできなくて……! お兄さんなのに、妹を守れなかった……!」


「アルト……」


「じ、自分では何もできなくて……こんなこと頼める人、シグルドさんしか」


 儂は泣きじゃくるアルトの頭をそっと撫でる。

 それ以上、この子に言わせないために。


「安心せい、儂が必ず見つけ出す」


「シグルドさぁぁん……!」


「だから泣くでない。それに、お主にもできることがあろう」


「僕にも?」


「そうじゃ、現場と犯人の顔を知っているのはお主だけなのじゃから」


「そ、そっか……泣いてる場合じゃない」


 アルトは、自ら目をこすり涙を拭う。

 その顔はさっきとは違い、やる気に満ちていた。

 それを確認し、儂はロハン殿に向き合う。


「ロハン殿、オルトス……我が相棒を街に入れる許可が欲しい。此奴なら、おそらく匂いで辿れるはずじゃ」


「その魔獣をですか……確かに狼系は賢く、従魔に向いておりますが。しかし、未登録ということですね?」


「うむ、左様じゃ」


「そうなると、中々に難しいかと。私が見ても、その魔獣は強いのがわかります。無論、見たところ理知的であることはわかっていますが……」


 ふむ、やはり厳しいか。

 儂としてはゴリ押しは好きではないのだが、あの紋章を使うべきか?

 そんなことを考えていると、後ろから馬の足音がした。

 その馬は止まることなく、門へと迫ってくる。


「な、何奴!?」


「待ってくだされ! あれは……ユーリス!?」


 儂はロハン殿を手で制する。

 何故なら、馬に乗っていたのは我が息子のユーリスだったからじゃ。

 ユーリスはそのまま、儂の横に馬をつけて下馬する。


「全く、貴方って人は……まだ王都を立って数日なのに問題を起こしたのですか?」


「わ、儂は何もしとらんぞ!」


「はいはい、わかりました……失礼、私は王宮騎士団所属のユーリスと申します。まずは、私にもお話をお聞かせください」


「その銀の鎧は、確かに王宮騎士団の方……では、私から再度ご説明をさせて頂きます」


 そしてロハン殿が、ユーリスに事の経緯を説明する。

 その間、儂はアルトと向き合う。

 オルトスも邪魔をしないように、儂の側で伏せをしていた。


「アルト、よく話の邪魔をしなかったのう」


「……だって、俺が何か言ったらそっちの方が邪魔になるかと思って」


「ほほっ、それがわかっているだけ上等じゃよ」


 儂が思っている以上に、アルトはしっかりしているようじゃな。

 そういえば、ユーリスを拾ったのもアルトくらいの歳じゃったか。


「あの人は誰なの?」


「儂のむす……弟分のようなものじゃな。儂の信頼する男の一人じゃよ」


「良いなぁ……僕もあんな風になりたい」


「ほほっ、お主も努力次第ではなれるわい。ところで、どうして門の前にいたのじゃ?」


 時間が惜しいので、状況確認だけはしておかねばなるまい。


「えっと、エルが攫われて……母さんに知らせに行ったんだ。母さんは騎士団がいる方に行って、僕は何かできることあるかなって……そしたら、シグルドさんのことが浮かんだんだ。情けないけど、人を頼ることしか浮かばなかった」


「いや、それで正解だ。お主はまだ幼く弱く、頼ることは決して恥ではない。本当の恥は、自分の弱さを認められないことじゃ」


「自分の弱さ……」


「お主はエルを助けるために、必死に考えたのじゃろう? もしお主が一人で行動して、何かあれば二次被害になるところじゃった。何より、エルを助けるのが遅れることになる」


「……ちゃんと出来てた?」


「ああ、良き判断であった」


 そんなやりとりをしていると、話を終えたユーリスがやってくる。


「シグルド様、話は聞きました。ひとまず、オルトスを入れても良いと許可が下りました。私の銀の鎧が、それを保証いたします。私がいることやその他については後にして、まずはその女の子を探しに行きましょう」


「うむ、事は一刻を争う。ユーリスよ、感謝する」


「あ、ありがとうございます!」


「いえいえ、それでは行きましょうか」


 その後、ロハン殿に騎士団と町の人々へのオルトスの知らせを任せる。


 途中で別れ、儂らは現場へと向かうのじゃった。

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