5 新人教育
教育係と言ってもシンデレラに教えるのは先生となるので、私は話し相手やきつい先生の潤滑油のようなものだ。
シンデレラは貴族の家に産まれたものの、やはり継母が来た幼少期以降はあまり教育はされていないようで、中々慣れない事に苦しんでいた。
ただ不思議な才能で、時折鳥やネズミ、馬と仲良さそうにしていた。
「…本当に飲み込みが悪くてごめんなさい」
シンデレラはすまなそうに私に話しかけてくる。
「いいわよ。誰だって最初からうまくなんていかないわ。わたしだって凄く怒られたもの。」
「でも、本当は魔法学校に行きたいのでしょ。私がこんなのだから…」
「もう、いじいじしない!
良い?王妃になるには、国民からの信頼を得ないといけないの。外交もある!ちょっと位失敗しても、堂々としてなきゃ。笑顔が大事よ!
それに今日のカテーシー。とても綺麗だったわ!あれに貴方の笑顔をプラスすると、隣の国の王様なんて貿易じゃんじゃんしてくれるわ〜」
「もう、本当に貴方は優しいんだから…。やっぱり私の勘は間違って無かったわ!じゃあ、もう1回練習つきあって!」
こんなふうに、毎日話し合いながら過ごした。まさに新人教育的な状態に。
でもシンデレラが、こんなふうに泣き言を言うのは、自分で早くしっかりとしないといけないと思ってるから。
泣き言も私の前でしか言わない。
そしていつからかプライベートな時間も使って自主練習をしはじめた様で、段々と様になってきた。
私もまるで自分の可愛い後輩…いやまるで妹の様に可愛く思ってしまっていた。
そんな落ち着いた時間の中、事件がおきた。