28 病気のシンデレラ
シンデレラはベッドで意識が朦朧としていた。
「少し…喉が渇きました…」
途切れ途切れの声で訴えると、近くに居た王子が自ら小さく切った林檎を、シンデレラの口に運んだ。
「水だとむせてしまうから…この林檎は新しく魔法で作られた、喉の渇きを潤す事ができるものだよ。」
王子は優しく語りかける。
シンデレラはその林檎の優しい味に何かを感じ取ったようだった。
「ありがとう…ございます…」
シンデレラは頑張って笑顔を作ろうとする。
「少し…寝ますね…。」
シンデレラがそう言うと、最低限の召使いを残して王子は部屋を出た。
「明日は公務前に、聖水を汲む神官と行動を共にしよう。」
王子はシンデレラの為に何かをしたくて仕方ないのだ。大臣にそのように伝え、自室に戻って言った。
病気になってからシンデレラは1人の部屋で休んでいる。シンデレラは日中はよく窓を開けていたが医者の指示で今ではしっかりと閉められていて、シンデレラはそれが悲しかった。
「さっきの林檎…美味しかった…」
一言呟いて思うのは自分のまわりの人の事ばかり。
自分を苦しい生活から助けて、有り余る愛で私を包んで、幸せを教えてくれた王子。
そして、何よりも大切で可愛いスノーホワイト。
そして、優しく受け入れてくれた城の人達、民衆…そして一番辛い状態だったのにまるで姉のように接してくれた……。
静かに目を閉じると、目から一筋の涙が目頭を伝って流れた。
どれくらいたったのだろう、その夜シンデレラは体がまるでフワフワと空中に浮いているかのような感覚に襲われた。
鳥達の声が聞こえる…。
ここは、外…?
誰かが私を運んで…いる…?
そう思いながらも、シンデレラは自分の意識が深く沈んで行く事に抗えなかった。




