21 力を振り絞って
その頃、魔法学校は騒動に。
王子に、赤ちゃんが産まれた知らせどころでは無かった。
買い物に行った私が消えたからだ。
村の外れには私が買ったと思われる林檎なんかが散らばり、誘拐されたかと思われているが、特に犯人からは何の音沙汰も無い。
山賊なんかが出た情報も無い。
「…そうよ。あの子は貴族の娘だったのよ。身代金もたんまり取れる大金持ちの娘だったのよ…。ついつい、それっぽくない行動ばかりするから、忘れてた!!!」
マリン先生達教師一同はそう言って頭を抱えていたらしい。責任問題もあるし何より心配だし、何とか探そうと躍起。
その異様な気配を察知してくれていたのはマサール。もしかしたら自分のせいで事件に巻き込まれたかもと必至で私を見つけようとあちこちの水や鏡で様子を見ようとするも見つからない。
そんな中、小さな丸い光から私の声が途切れ途切れにマサールに聞こえた。
「…は、ここ…るわ…気がつ…て」
マサールはその光の方にむかって、力を振り絞って集中して進んだ。見失いそうなかなり小さい光。
捉えられるか…でも捉えないと…!マサールはその光になんとか近づく。
姿はぼやけてあまり見えないが声は、はっきりと聞こえた。
「…の屯所!北の門の近くの憲兵の屯所に私はいるわ!!」
「何叫んでんだ!うるせぇ!!」
ガシャーーン!!
次の瞬間、光は消えてしまった。でもマサールははっきりと聞こえた。
後はこれを伝えるだけだ…。
マサールはフラフラになりながらも、マリン先生の部屋の鏡に移動した。
バタバタとマリン先生は廊下を走って自室に入った。外出のためのフードを取りに来たのだ。
フードを取り急ぎ部屋を出ようとした時に一瞬何かに気がついて、足を止めて振り返った。
そこには赤い血で鏡に文字が書いてあった。
「北の門の憲兵屯所に探し物はあるだろう。」
鏡文字で反対向きになっていて、触っていても手に血は付かない。
「これは…鏡の内側に書いてある。そして魔力を感じる…」
マリン先生は鏡に手を当てながら感じ取った。
しかし次の瞬間、その文字は徐々に薄くなって消えてしまった。
魔法使いは剣士や武道家達と違って普段自分の体を傷つけ無い。傷付ける時はもう力が残っていない時、最終手段として使うのだ。
マリン先生は誰か魔法使いが助けようとした事は分かるも、それ以上何も答えが見つからず、とりあえず北の門屯所に魔法学校の先生を連れて急いだ。




