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20 あえて怒らせる
兵が美味しそうにお酒と食べ物を食べているのを見て、あえて大げさ顔をそむけた。
「なんだ?お前も食べたいのか?見てて辛いのか?」
憲兵は面白そうに聞いてくる。
「いえ…私は苦手で…」
「何が苦手なんだ?」
「………」
私はわざと答えない。
こういうパワハラ系上司を、怒らせるのは簡単。問いかけを無視して、期待通りに動かなければよい。
「答えろって言ってんだろ!」
机を足でガン!!と蹴り上げながら、叫ぶ憲兵。
「おい!!!」
もう良いかな。と思って私は、わざと震える声で言った。
「…お酒が、匂いも…全部苦手なんです。」
憲兵は、拍子抜けしたような顔をした後、ニヤニヤと企みだした。
「酒を飲めば口が軽くなるかもしれねぇなぁ。祝の酒を飲ましたって言ったら、魔法学校も文句も言わねえだろ。」
牢屋の戸を開けて憲兵が入ってきた。
そして私の顔の近くにお酒の入ったコップを近づけてきた。
これを待っていた。
お酒の入ったコップに私は、自分の顔を映して叫んだ。
「私は、ここにいるわ!気がついて!!」




