無もなき姫
24歳のもと社畜OLが童話の世界に迷い込んでしまったお話です。結構、おっとり流されやすい性格の子です。この子なりに色々と頑張るので、読んで頂いたらとても嬉しいです!
一体私は何を見せられているのだろう。
きらびやかなパーティー会場。
その中央で踊る2人の男女。
男性は、この国の王子。
女性は、どこの令嬢?誰も名前を知らなかった。
今のドレスの流行りは、レースや花の装飾を模した派手なもの。
しかし、その無もなき令嬢のドレスはシンプルながら美しいシルエットで生地そのものがダンスで踊る度に、魔法のようにキラキラと輝いてる。
それに彼女の軽いカールのかかった金髪と、美形な顔立ちながらはにかんだような可愛らしい笑顔。
そのアンバランスさが魅力的に見えて、一層周りと王子の視線を集める。
その無もなき令嬢と踊っている王子は、今日、私に婚約を申し込むハズだった。
このパーティーは王子の婚約者を選ぶ為のもので国中の全ての女性は参加可能であったが、実は出来レースでこの国の重鎮の娘、つまり私が選ばれるハズだった。
この無もなき令嬢がパーティー会場に現れるまでは。
ああ、ああ…王子は私にあんな顔はしてくれなかった…。
ずっと見てきたから分かる。
王子は無もなき令嬢に恋をしたんだ。
無意識に目から涙が一筋こぼれ落ちた。