表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪異の便り -始まりの記-  作者: 織田珠城
2/2

1. 戸締りの不用心

1.戸締りの不用心

        橋本カナメ


織田さんこんばんは。橋本です。

 今夜私がお話しするのは、私が小学校、高学年あたりに体験したちょっと怖い話です。

蝉が鳴き、蒸し暑い夏が訪れるのだと教えてくれる頃、へだち小学校では、いつものように、給食終わりの十五分休憩に入っていた。

 

「わーカナメちゃんの消しゴム匂い付きだ、しかもいちごの香りだ!いいなー」

 教室中に響くカナメを羨ましがる声。

「ママと昨日買いに行ったの、可愛いでしょ」

 自慢ができて嬉しそうな顔で机に両肘をつけ女子たちのリーダーとなって話しているカナメ、その時

 ガラガラガラ

「はい、席について、五分前行動忘れるなよー」

 算数の授業が始まるようだ。

 私算数苦手なんだよね、とカナメが愚痴を漏らす。

「わかるー」

 彼女の周りではいつも共感が飛び交う。

(やっぱ私って人気者)

 カナメは浮かれていた。授業中もカナメは窓の外を見て、全く授業に集中していなかった。(つまんないなー早く終わって欲しいなー)彼女はこんなことを考え、給食後でもあったため眠たくなってきたのかあくびまでしていた。

「ねぇ、カナメ、カナメってば!やっぱり、全然聞こえてなかった!」

 授業が終了していた。あれ、もう?とも思っていたが嫌いな教科だ、早く終わって欲しいとも思っていたので嬉しかった。

「えへへ、窓の外見てたらあっという間に授業終わっちゃってた、ごめんごめん」彼女は可愛らしくみんなに謝った。

「もーカナメも早く帰ろ」

「はーい」

 彼女は赤いランドセルに教科書を入れて、筆箱を入れて、ランドセルを閉じ小走りでみんなを追いかけながら背負った。

「置いてかないでよー」

 カナメは後ろから駆け足で追いかけたのにいつの間にかグループの先頭にいた。すると後ろから

「そういえば、カナメちゃんってあそこのマンションに住んでるんだよね、いいなー」と羨ましがる声が聞こえた。すると周りにいるみんなも羨ましがった。「まあ、私のパパママだもん!」カナメはえっへんと自慢した。するとある女の子が「やっぱり、お家の中も綺麗なの?」と質問する。

「エントランスとかピッカピカだよ!すごく綺麗!今から近くまで見にきてもいいよ」

 カナメが話を誇張しながら自慢する。すると後ろの女子が「行きたい!」とまるで遊園地へ誘われているかのごとぐカナメに縋る。

 公園を抜けた先にカナメが住んでいるマンションがあるのだが、学校の謎ルールによって公園を渡って帰ることは禁止されていた。カナメは謎ルールも守らず、その日は数人の友達を引き連れて、公園で堂々と寄り道しながら帰っていた。その日は意外にも警備員さんにも絡まれず、すぐに家に着いた。「ここだよ!」と後ろを向きみんなに見せようとしたら、後ろには誰もいない。(帰っちゃったのかな)カナメは一人でいる時と同様の無口になり、エントランスから自分の家へ向かった。「ただいま」家に入るとキッチンの方から「おかえり〜」と元気な母の声がした。「カナメ〜手洗ってきなさ〜い」カナメははーいと返事をし、お風呂場へ向かった、手を洗っている時に少し違和感を覚えた。カナメ?母はいつも私のことをカナちゃんと呼ぶはずなのに、カナメは背後から鋭い視線を感じた、深海に沈んだかのような圧迫感、まるで体調を崩しているかのような冷や汗。カナメは母の方へ目を向けた。「ママ」母を呼ぶと母はにっこりと微笑みカナメの方を向き「なあに?カナメ」カナメはやはり不自然に思えた、でも、今日だけ、今日だけだと自分に言い聞かせ「な、なんでもなーい」と適当にママに返事をした。カナメがテレビをつけようとリモコンに手を伸ばすと後ろから、ガッシャーンと耳に響く何かが割れたような鋭い音、カナメは手を止め後ろへ振り返った。

 鏡だった。

ママがとても大事にしていた今は亡きおばあちゃんから頂いた鏡、ママはどんな顔をしているのだろう、悲しそうにしているのだろうか、カナメがママの方へ目をやる、ママは何も気にしないかの如く鏡へ近づき「あららー割れちゃった。」と笑顔で呟きながら手で割れた破片を床から持ち上げる。「カナメはそのままでいいからね」とカナメに指示をした。

「うん、」カナメは少し気にしながらもテレビのリモコンを手にし、テレビを付けた。

 テレビをつけるとそこにはよく学校終わりに見ているお昼バラエティが映し出されていた、カナメは「まあこんな日もあるよね」と心に語りながらテレビを楽しんだ。

 夕方になり、お昼バラエティが終わり、夕方のニュースへと画面が変わった。ニュースアナウンサーが登場し、こんばんは、と挨拶をした直後、テレビの画面が砂嵐に、ゴーゴーと音が鳴り響くリビング、するとそこで家の電気、テレビ、電気家電は全て消えた。カナメはびっくりし、その場で固まったがすぐに「すぐに直る」と信じその場で待っていた。すると玄関の方から「ただいまー」と声がした、その声は、ママだった。「あれ、カナちゃん何一人で電気もつけずにしてるの」カナメは全身に鳥肌がたった。「あれ、ママ、さっきまでキッチンに」カナメは声を震わせながらママに聞いた「え、私スーパーにお買い物に行ってたわよ?」カナメは、自身が体験した恐怖を信じれておらず、すぐ、「でも、ママいたもん!」と少し声を張った。でも「何を言ってるのよ、頭でも打ったんじゃない?」とママに笑い物にされてしまった。「今日、ロールキャベツよ、好きでしょカナちゃん」いつものままだ。カナメは今日だけが不思議な日だと思い込み全てを忘れることにした。

 「食べる!」

 その日の夜、カナメが濡れた髪をタオルで包み、自室へ歩き始めると、ピンポーン、玄関のチャイムが鳴った。カナメは誰だろう、と思いつつ玄関の扉を開けた「はーい、あれ、誰もいない」カナメはチャイムの故障かな、と考え眠りについた。

 夜中、カナメは玄関の慌ただしさに起こされた。「うるさいなあ、」体を起こし、周りを見渡した、すると、ピンポーン、ピンポーン、チャイムが鳴っている、この夜中に、連続で、カナメは怖くなり寝ているママの体を揺さぶった。「ねえママ、チャイムが鳴ってる」すると「あーあ、入ってきちゃった」と、意味不明な言葉を並べた、カナメは少しのイライラを抱え玄関に走った、カナメが見たものは、彼女の十年の記憶の中で一番不気味に思えたものだった、縦型のドアノブが内側からガチャガチャと音を鳴らしているという現象を目にした。カナメは先ほどママが言った言葉も相待って怖くなり、自室へ走り布団に包まり色々と考えた。「もしかして、今日私が玄関を開けたから、入ってきちゃったのかな、私の部屋には来ないよね、怖い」その日は、いつ寝たのか分からず、目を開けると窓から日が刺し、とっくに朝だった。カナメは耐えた、とホッとし自室の扉を開けリビングへ向かおうとドアノブに手を伸ばした瞬間、何かを思い出した「私、昨日布団に包まる前、自分の部屋のドア閉めたっけ」すると彼女の後ろから「入れてくれて、ありがとう」と冷たい息が彼女の耳に触れることを認識した時、彼女は自室から走り出し、キッチンで朝ごはんを作っているママに抱きつき、気持ちを落ち着かせた。


「あら、どうしたの?怖い夢でも見ちゃった?カナメ?」



私は、この体験から、少しの間記憶がありません。現象が起こってから二が月後、一軒家に引っ越すことになったんです。私は一軒家に引っ越してから、時間がまた動き出したかのように思いました。母は、あの現象から日常に支障をきたすほどの精神病になってしまい、まだ入院しています。大した怖い話ではなかったと思いますが、読んでいただきありがとうございました。皆さんもくれぐれも戸締りには気をつけましょうね。

わー、怖かった話ですね。小学生で、経験するには怖すぎるお話です。

ですがよく耐えました。橋本さんの呪いによる荷の重さはこれからさらに、軽くなると思いますよ。

いやーですが、戸締りはきちんとした方がいいですね。厄介なものを家に入れてしまうと、家族全員崩壊する可能性もございますから。いやー良かった。これで、みなさん戸締りはきちんとしなきゃ、って気づきましたね。

皆さんちゃんと、戸締り、するんですよ。ではまた次のお便りで。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ