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嘘つけない代のメトロイドヴァニア

 小説が書きたくて仕方なかったはずなのに最近は書きたいとも思わなくなった。この気変わり自体、すでに何千回繰り返したのかも分からないから驚きもない。結局は全部が全部気の迷いってことになる。僕のいる対岸から信念って感じの熱血漢がそびえ立ち、墨汁垂れた眼差しでこっちを睨みつけている。賭けてもいいが、彼だってせいぜい5年が経ったていどなんだろう。小学生も終盤戦か。石の上にも三年とかいう言葉は、そんなの三年間血迷っていただけだって他の誰も説明をくれないからここで代わりに僕がしておこう。みんな血迷ってそこに立っている。どこかをふらつき、意地になって血迷い、誰かの行いが血迷っていると思うのもまたそれぞれの通りなんだ。宮沢賢治の詩で似たようなことを言っていた気がする。アイツはすごく有名だけど、アイツが一体何をしたっていうんだ。

 考えてみれば僕はあまり本を読まない。まるっきり読まない人よりは読むんだろうけど、年に5冊は絶対読まないから、本当に読む人からすれば読んでいないに入るのだろうと思う。読んでるのにな。

 なんでこんなことを考えたのかといえば、僕が小説を書く理由を求めて始めたのだけど、どうやら答えは一段落目の内容に帰ってきそうな気配だ。そんなこと気にせず先へ進もう。ダメージ覚悟で、セーブルームはもうすぐ隣だ。

 となると小説を書く理由より、そんな理由を求めだしたことが気になってくる。それも実は最初に書いてあったのか。習慣の欠落による急性不安症状だ。不安か安心かでたいていの物事には説明がつく。人の心でなく物理の話をするなら不安定と安定って言葉に切り替わる。あれ物理の教科書って理屈っぽい道徳ノートなんだ。心のノート。とっても単純。不安定なら動く、安定なら留まる。ただそれだけ。オレ、カシコイ。

 バカみたいな脱力感にかつての一発屋サイケミュージックがどこからともなく流れだすのだった。僕の鼓膜なみに薄手の肌はつんざかれ、決死の方向感覚は真っ青な天井を示す。これはもはや実質カントリーだ。カントリーもまたサイケ。ステンバイ、ユアマーン。クラシックは生まれたときからクラシックだったのだって、そういう胡散臭い言い方は好きだ。遠い昔のことなら何とでも言えるからな。遠い未来と同様に。同様に、同様に……リフレインのさなか、僕は腕を高く伸ばし、遠く向こうで輝いている太陽を手中に収めていた。もはや熱すらも感じない……だって掴んだのはピカピカのオレンジだったんだもん!

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