第8話 「初めての作詞」
そして部屋の中に入っていくと汐莉ちゃんが部屋を案内してくれた。
「ちょうど友美の隣の右の部屋が空いているからそこを使ってね」
「ありがとうございます!ちなみに家賃はおいくらになりますか? 」
「うーん、そうだねぇ。毎月2000円で良いわよ」
「それだと安すぎるのではないですか? 」
「そんなことないよ。これから昌くんには、少しずつステップアップしてもらって第2世代のアイドルハイスクールとなるアイドルエッグの頼れるプロデューサーになってもらうんだから。それとさっそく明日から作詞に挑戦してみないかな? 」
「作詞ですか? 」
「うん。板野は、明後日まで学生だから来られないらしいから」
「分かりました。作詞に挑戦してみます」
こうして僕は、人生初の作詞に挑戦することを決意したのであった。
そして次の日、僕が部屋で歌詞を考えているといきなり友美が部屋の中に入ってきて話しかけてきた。
「昌くん作詞の方は、どう? 」
「うーん。とりあえず恋愛ソングにしてみようとは思っているけど、グループで歌うとなるとどうしたら良いのか分からなくて悩んでるところかな」
「そう言う時は、こうしたら思い付くかもしれないよ」
すると友美は、僕の目の前でいきなりスカートを捲りあげハート模様がついたピンクの下着が見えた。
「友美、いきなり何してるんだよ」
「約11年ぶりの感想は、どう? 」
僕は、顔を赤くしながら答える。
「感想って言われても‥ すごくドキドキしたし、昔と違って今は1人の女性っていう感じがしたかな」
「それなら良かった。別にあたしへの告白ソングでも良いんだよ」
「そんなの書いたらグループで歌えなくなるじゃないか」
「歌えないことはないと思うよ。昌くんからの告白ソング欲しいなぁ~ 」
「友美、変なこと言わないでよ。歌詞を考えてるんだから」
すると友美は、いきなり僕の隣に座って今度は僕の右手をゆっくりと触れながら手を繋いでくる。
「さっきはちょっとあたしが思いきりすぎたかもしれないけど、これなら良いのが思いつきそうでしょ? 」
「これだとまるで僕たち付き合ってるみたいじゃないか。うーん、でも何か思いつきそうかも。ちょっと書いてみよう」
そして僕は、とりあえず筆を手にとって思いついたことをそのままゆっくりと歌詞として書き始めてみることにした。
『キミとこのままいたいんだけど
いつも私の方をみてるけどキミは何も言ってくれない
それだと何も伝わらないよ (伝わらない)
言いたいことがあるのなら勇気を出して
恥ずかしいのならたとえ一言でも良いんから私に届くように伝えてよ
キミの一言で私の心は揺れるんだよ
別にかっこよく決めなくても良いから
私に届くようにメッセージを伝えてよね
私はキミからの一言を待ってるんだから
ストレートに言ってほしいんだからね
早くしないと他の人に先越されてしまうよ』