第31話「親睦合宿前日」
そしてプリントを配っていって中島さんがプリントをみながら嬉しそうにこうつぶやいた。
「親睦合宿楽しみだなぁ。メンバーのみんなと仲良くなりたいからなれるといいなぁ」
こうしてメンバーの中には不安そうな表情をしている人もいるが、ゴールデンウィークの期間を使って二泊三日の親睦合宿を開催することになった。
そして5月になって親睦合宿の前日に僕が体育館で掃除をしていると穂乃花がやって来て話しかけてきた。
「昌、ちょっと明日の親睦合宿の事で話したいことがあるんだけど良いか」
「うん、良いけど」
僕と穂乃花は、体育館の中の入り口付近に移動してから穂乃花は話し始めた。
「あたい、明日からの親睦合宿休もうと思うの」
「なんで休みたいの?
これはメンバーとの仲を深められるチャンスなんだよ」
「それは分かってるけど、あたいは他のメンバーと仲良くなれる気がしないんだよ」
「そんなことないよ。穂乃花ならみんなと仲良くなれるよ」
「あたいは、そうは思えない。第1世代の終盤の時にオーディションであたいは、1位指名されて踊りがうまいアイドルとして最初はファンから注目されたけど、メンバーとは思うように仲良くなれなくて酷いまではいかなくても何度もいじめにあったりしたから今回も仲良く出来る気がしないんだよ」
「そうだったんだね…
確かにまたいじめられたりするんじゃないかなって思う気持ちはすごく分かるよ。
でも第2世代からは、プロデューサーが僕になるから僕ができる限り穂乃花のサポートをしてあげるから親睦合宿をきっかけにメンバーのみんなと仲良くなってみないかな? 」
「それじゃ嫌なことがあった時や泣きたくなった時とかは、昌のところに来ても良い? 」
「もちろん良いよ。
その時は、いくらでも話を聞いてあげるし助けてあげるから。
難しいかもしれないけど、アイドルグループにいる以上はある程度でも構わないから仲良くなれないとこれから先何が起こるかわからないけどその時に困ることになってしまうからね」
すると普段はツンとしている穂乃花がいきなり顔を真っ赤に女の子らしく甘えてくる。
「ありがとう。昌がそこまで言うならあたい頑張ってみようかな。
それじゃあたいを抱き締めてくれる? 」
「抱き締めるっていきなりどうしたんだよ」
「昌に抱いてもらったら頑張れそうな気がするから。それともしたくないわけ? 」
「そんなことないよ」
「それじゃ早く抱いて… 」
「分かった。それじゃ今からするよ」
僕は、穂乃花をそっと抱き締めていきエールを送るように背中を優しく撫でてあげると穂乃花は、僕を抱き締めてきながらこう言った。
「ありがとう。すごく頑張れそうだよ」
「それなら良かったよ。これから頑張っていこうね」
こうして親睦合宿前日に起きた問題は、当日になるまでに解決することが出来たのであった。