第30話「慣れるまでの時間」
こうして僕は、親睦会の計画を立てることに決めて慌てて汐莉ちゃんが大丈夫なことを友美に伝える。
「友美、大丈夫だったから安心して」
「それなら良かったぁ。昔にトイレで倒れたことがあるから、すごく心配になってしまうんだよね」
「倒れたことがあるとそりゃ心配になるよね」
それから1日後の日曜日、僕は、全員の様子をみるため色んな場所に回りながら観察をしていくと、友美は自分の部屋で仕上がった作曲のテストを行ってから体育館で声を出す練習をしていき、穂乃花は、踊りの練習をしていき、唯は、友美と同じ体育館で声を出す練習を励んでいた。
そして新人27名のうちメンバーである26名は、オーディションの時に自分達が得意としている部分を各自で伸ばしていくところに専念しておりマネージャーの板野 桜さんは、このグループの状態などを把握する必要があるため第1世代の時からの資料を読んで部屋で勉強をしていた。
ちょっと見た感じでは、特に問題のないようにも見えるが第2世代として活動を本格的に始めていくには、まだ早いところがある事に僕は気づいていた。
それは、チームプレイが出来ていないところだ。
みんな練習や勉強に励んではいるが、誰かと一緒に練習する様子や誰かと会話をすると言う場面が全くない。
これでは活動を本格的に始めたとしてもグループがバラバラの状態であるためオーナーの汐莉ちゃんが話していた通り、メンバー同士が仲良く出来る場を設けてあげないといけないと考えたため昨日の夜に徹夜して作っておいた親睦会のプリントを集合時間のときに全員に配ることにした。
「皆さん練習お疲れ様です。新人の皆さんは、日はまだ浅いですが少しはこの環境になれてきたでしょうか? 」
すると渡辺 小春さんが自己紹介をしながら意見を話す。
「私は、運動が好きで回りからは体育会系女子と言われている13歳の渡辺 小春と言います。 よろしくお願いします。 私としては、平日は学校に行ったり家では宿題をしなければいけないため土日の週2回しかここには、来れないため、なれるにはもう少し時間がかかりそうです」
渡辺さんがそう言うと中島さんと板野唯さん以外の15歳までのメンバーたちは、全員小さくうなづいていたため僕は、みんなにこう言った。
「学生のメンバーは、なれるのが少し大変かもしれないですね。まだ活動は本格的には始まっていないので今は、とにかくここにきて練習をすることについてなれてもらいたいと思います。そこで4月も終わっていよいよゴールデンウィークがある5月になりますので、ゴールデンウィークの一部の期間を使いまして一泊二日だと少ないので二泊三日の親睦合宿を行いたいと思います。合宿と言いましても今回の目的は、メンバー同士の親睦を深めることが目的となるため厳しい特訓はありませんので旅行気分で楽しんで頂いてメンバー同士が仲良くなれたら良いなと思っております。それでは今からプリントを配っていきますので確認しておいてください」