第21話「オーディション」
それからオーディション開催の当日を向かえ、汐莉ちゃんの情報によると前回よりは受ける人数が4割程度減少してしまったらしい。
しかしそれでも120人の応募が集まり土日の2日間に分けて1日あたり60人の審査をこれから僕はすることになる。
家を出る前に友美がこう言ってくれた。
「大変だと思うけど、審査頑張ってね」
「ありがとう。頑張ってくるよ。何しろ初のプロデューサーらしい仕事だからな」
「それじゃ行ってらっしゃい」
「いってきます」
それから僕は、同じ東京都内ではあるものの赤坂から秋葉原の特設会場に移動して審査席に座って待機する。
そして僕が水分補給をし終わるとオーディション開始時刻になって1人目の方が部屋にやって来た。
「失礼します。福岡からきました、七瀬 歩美14歳です。よろしくお願い致します」
「こちらこそよろしくお願いします。それでは、好きな歌でも踊りでもなんでも構いませんので始めてください」
「分かりました。それでは踊ります」
すると国民的アイドルの楽曲の踊りを始めていくと足も適度に上がってキレのある踊りで笑顔も弾けたりと結構上手かった。
しかし1つ僕にはあるものが届かないように感じてしまった。それはアイドルになりたいと熱いいう気持ちである。
オーディションは、オーディションでもダンサーの募集をしているわけではないため踊りが良くてもアイドルになりたい強い気持ちやアイドル性が無ければ合格には届きにくくなってしまう。
「うん、結構良かったと思います」
「ありがとうございます」
そして次の方が部屋にやって来た。
「兵庫からきました、中島 早恵と言います。
まだ小学生ですが早恵は、第1世代の最初からこのグループのファンで、エースだった川西 愛理さんのファンです。
そして第2世代が始まると聞いて私に出来ることは、あまりないかもしれませんが、メンバーのみんなと一緒にアイドルの頂点まで上がっていきたいと思っております。
それでは、歌います。
曲は、アイドルハイスクールで私たちのたからもの」
『光るよ! いつか私たちのかけがえのない
たからもの
たからものってなんだろう
私たちは毎日考えるんだけど
答えはなかなか出てこない
どうしたらその答えは出てくるんだろう?
考えても仕方ないんだろうね
これは経験してゆく中で分かってくることだと
後に私たちは知ることになるのだ
光るよ!いつか私たちの
かけがえのないたからもの
それはお金でも無ければ宝石とかでもないんだ
辛いこともたくさんあったり
時にはぶつかることも多々あるけど
私たちにとってのたからものは、出逢えた仲間なんだよ』
この曲は、初代アイドルハイスクールの1番最初のメジャーシングルで水着のMVではあるものの男女問わずに大ヒットした曲で僕もシングルが買った1人である。
その曲を気持ち込めて歌い上げたのだ。