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犯罪者  作者: 小野葉
6/7

第六章 篠原と質問漬けにされる麗華

次回から、投稿日を一定にしたいと思います。

なので犯罪者は来週から、毎週水曜日の9時〜12時の間に投稿させていただきます。

なるべく遅れないようにしますので、ぜひ見てください。

「警察官っていうのは嘘だったのか?オレを騙したのか?だったらあの警察手帳はなんなんだ?盗んだのか?もう、どうなってるんだ!!」


「ああもう、いっぺんに質問しないでくださいよ。一つ一つ聞いてください」



麗華がハア、とため息をつく。



「分かった。じゃあ、一つ目。警察官っていうのは嘘だったのか?」


「いいえ、本当ですよ」


「二つ目。じゃあ、あの記者っていうのはなんなんだ?」


「あれは、事前に私とセンパイが打ち合わせして決めていた職業です。わざわざ内密に視察に来ているのに、私は警察官です、なんて言ったらただの馬鹿でしょう」


「じゃあ、どうして記者なんだ?それに、なんでみんなに嘘をつくような形にわざともっていくんだ?」



またもや立て続けに質問し始めた炉唯に、麗華はひとまず座って下さいよ、と促す。



「では、一つずつお答えしますね。まず、どうして記者でなくてはならないのか?

それば館内の様子を観察し、メモをとっている一般人がいたら変だから、でしょうか?

それに、記者だと、いろんな情報が貰えるという特典もありますしね。職業を言わなくてはならないのか?という質問に対しても大体同じです。…では、他に質問は?」


「いや、もう特にない」


「そうですか」



炉唯が席を立ち、ドアノブに手をかける。



「今日はありがとうな。一般人のオレなんなにいろいろと話してくれてな。正直迷惑だったろ?」


「そんなことはありません」


「そうか?じゃあな」



そう言うと炉唯は部屋を出て行った。

それから数分間、何かを考えるようにじっとしていた麗華だったが、メモ用紙を持って部屋から出て行った。

麗華の行く先は篠原家の自室。

目的は先ほどの話し忘れていた事を炉唯に話しに…などではなく、可愛い可愛い羚に会うためだ。

そして篠原家の自室に着いた麗華は、トントンと軽くドアを叩く。

すると、すぐにハーイ、という雪奈の声がしてドアが開く。



「あら?燐野さん?どうしたの??」


「えっと、羚君に会いに来ました」



迷惑だったかな、と思いつつも聞いてみる麗華。



「部屋、入れてもらっても良いですかね?」



すると、あははははという雪奈の笑い声。



「そんな事くらい良いですよ。全然良いです。逆に羚の遊び相手ができてこちらも大助かりです。さ、入って下さい」



そういうと雪奈は大きくドアを開けて、麗華を中に招き入れてくれた。

部屋の中には、ブロックで遊ぶ羚と、煙草を吸いながら新聞を読んでいる炉唯の姿が。



「失礼します」



そう言って麗華が中に入ると、炉唯が新聞から初めて顔を上げる。



「り、燐野!?オレに何か用事かよ?」



慌てながらそう言った炉唯の頭を雪奈がポンッと軽く叩く。



「違います。うちの可愛い一人息子に会いにきてくださったのよ。大体アナタみたいなむさくるしい男に会いに来るもの好きなんているのかしら?」



あっさりとそう言う雪奈。

その言葉に

「そうかなあ??」

と真剣に悩む炉唯。

雪奈のあの物言いで、喧嘩にならないのが不思議だ。

それはそうと、麗華の目的は羚。羚の目線までしゃがみこみ、ねえ、と話しかける。



「ねえ羚君」


「なんですかー?」



ブロックから目を離さず、何かを一生懸命作っている羚。



「何を作ってるの?」


「ピラミッドです」



そういえば、このブロックの山が段差のような形になっているところなど、ピラミッに見えなくもない。



「へえ、上手なんだね」


「ありがとうございます。お姉さんも一緒にやりますか?」



初めて羚がブロックから顔を上げる。一方の麗華は、えっ?といった感じだ。



「お姉さん美人さんなんですね。もしかしたらボクのお母さんと良い勝負かもしれません」



無邪気にそう言う羚。

あまりに悪意なくそう言われては、怒るに怒れない。

すると、雪奈が羚の傍に寄ってきて羚を抱き上げる。



「羚!!失礼でしょ」


「どうして?ボク、お姉さんの事ほめただけだよ?」


「それが失礼なの」


「どうしてそれが失礼なの?お父さんだって、思ったことは素直に言いなさいって言ってるもん」



素直…お姉さん…数々の何気ない言葉が麗華の胸に突き刺さる。

すでに麗華は放心状態だ。



「あのね、羚。この人は、お姉さんじゃなくてお兄さんなの」


「ウソだー。だって、お母さん並みに美人さんだもん」


「嘘じゃなくて本当なの」


「じゃあ、この人オカマなの?」



オカマ…、更に麗華の心はボロボロになっていく。

再起不能まであともう一歩、というところで、ド非常事態が起きた。



「キャアアアアア!!!!」



女性の悲鳴が聞こえたのだ。

声からすると、多分悲鳴の主は由愛だろう。

場所は…。



「悲鳴だ!!場所は多分リビング!!」



そう言うと同時に、麗華はドアを乱暴に開けて廊下へと飛び出した。

リビングの場所は、一階のエレベーターを降りて、そこの角を曲がった所にある。麗華は全速力でリビングへと走る。

そしてリビングへとたどり着くと、そこには…。




悲鳴を上げた由愛と、死体となった由宇がいた…。







続く

次回、由宇の死は事故なのか殺人なのか……。

麗華がその謎に迫る!!!!

乞うご期待下さい、です。

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