2月4日 一人旅
昨日の高田から、衝撃的な発言を聞いて、1日が経過しようとしていた。
ー2月3日ー
女の子から告げられた名前は、身に覚える名前だった。まさかな、、、。自分でも頭がおかしくなっていた。ドアが開き、先生が戻ってきた様だ。入るなり、俺たちに、ゼミ合宿の出欠を確認した。
ゼミ合宿の日程は、3月4日。こんなゼミ合宿に参加するくらいなら、バイトしたり遊んだりした方がマシだと思ったため、参加しないに丸をつけてプリントを提出した。
高田「思い出しました?」
俺 「なんとか」
高田「そんなに驚きました?」
俺 「そりゃあね。よく中入ってこれたね」
高田は、高校3年生だから、普通、大学には入ってこれないはず。
高田「いや、私も入れると思ってなかったんでビックリしてますよ」
俺 「そうなんだ。じゃあ、何で来たの?」
高田「心当たりはありますか?」
俺 「ないよ。なんか七海にした?」
七海とは、篠木の名前だ。
高田「ハハハ。してませんよ」
俺 「じゃあ、何?」
高田「実は、3月から、いなくなるんで。挨拶をと思って来てみました」
大学行くんじゃないのか?疑問が残る。
俺 「また、すぐに戻ってくるでしょ」
高田「それが、そんなことなくてね」
俺 「どういうこと?」
高田「自転車使って旅することに決めました」
俺 「旅?」
驚きすぎて、首がキリンのように前に出てしまった。
高田「そうです」
俺 「めちゃくちゃ心配なんだけど、大丈夫?もし、あれだったら七海かすよ」
高田「ハハハ」
高田は、笑顔の先に自信を感じさせる。
俺 「でも、なんで旅するの?」
高田「これからどうするか?って考えた時、自分でも、よく思い浮かばなくて」
自分もそんな時期があったな。陸上をやめて、何もしたいと思えなかった頃だ。
俺 「なるほどね」
高田「だから、思いきって、この1年は自分を探すことに決めました」
俺 「そうなんだ。でも、気をつけてよ」
高田「ありがとうございます。七海には、いろいろお世話になったんで、大学進学決めてくれて本当によかったです」
心から、七海に感謝してるんだろうという気持ちが伝わった。
俺 「七海なぁ」
高田「最近、会ってないんですか?」
俺 「全くだな」
高田「最近、勉強忙しいらしいんで、私も会ってないですね」
俺 「そっかぁ」
高田の目は、とてもキラキラしている様だった。