4月7日 大学
七海は、いろいろあったが結局大学に進学。それから約1週間が経過した頃だろう。どういう心境なのだろうか?大学進学を諦めていた頃から、話は聞いていた。七海には、二人の弟もいるし、金銭的に大学に行くことが正直、いいのかなんてわからない。"BIG3"の中では、七海と矢田が大学に進学し、高田だけ別のことをしているらしい。大学に進んだ七海はどう感じているのだろうか?
七海「大学?」
俺 「うん」
七海から大学のことは、あまり聞いていなかった。
七海「それなりに楽しいよ」
俺 「忙しいの?」
お互い干渉しないということは、昔から意識していた。
七海「そうね。バイトも3つしてるし」
俺 「そりゃあ、大変だな」
バイト3つかぁ。やっぱり凄いな。
七海「まぁ、そうね。でも、それなりに頑張ってるよ」
俺 「弟はどうしてるの?」
七海から、ずっと弟の話が出ていた。
七海「今は、聖徳でピッチャーやってるよ」
俺 「もう、レギュラーなの?」
七海「レギュラーかは知らないけど。もう試合出てるね」
相当期待されてるんだろうな。
俺 「よかったな、聖徳行って」
七海「そうだね。まぁ、名門には勝てないと思うけどね」
七海は、中学校は公立だから名門のことはあまりわからないか。
俺 「名門なぁー」
七海「どうしたの?」
不思議そうに私の方を向いた。
俺 「いやぁ、なんでも」
七海「思い出すの?」
俺 「オススメしないよ、名門は」
俺は、高校時代のことが脳裏によぎってきた。
七海「さすが、名門出身は違うね」
俺 「名門なんて肩書きだよ。それがなきゃできないやつは、意味ないよ」
七海「それは、厳しい意見ですねー」
煽っているのか、それとも忖度してるのか。
俺 「七海も陸上してたかった?」
七海「んーん。もう、陸上はいいよ」
俺 「そうなんだ」
七海「やりきったよ、陸上は。それよりも、みんなと楽しんでいる方が大事だよ」
七海の発言には、嘘はなかった。
俺 「俺も、そろそろ新しいものを探さないとな」
七海「新しいものね。熱中できるものってこと?」
俺 「そうそう」
旭の試合を見てから、俺なりにいろいろ考えて取り組んでみた。当然、そんな簡単には見つからないけど、これがいつか見つかればいいと思っていた。




