4月3日 魔性の女
隼斗「そんなにいいのか?」
俺 「いいかどうかは知らないよ」
俺は、隼斗に沢良宜のことを話していた。一人で抱えるには重すぎる案件だった。
隼斗「可愛いのか?」
俺 「結構。ハハハハ」
そう。俺は、いつの間にか彼女に魅力を感じていた。決して好きという感情は、なかったんだけど。彼女の全てが、今まで俺と仲良くしていた女性にはいなかったタイプだった。
隼斗「ハハハハハハ。お前ダメだろ、それ」
俺 「だよな」
隼斗の言う通りそれがダメだということはわかっていた。しかし、俺は既に彼女に吸い込まれており、頭の中が彼女でいっぱいだった。
隼斗「どんな性格なの?」
俺 「あれは、魔性の女だ」
俺は、魔性の女と名付けた。
隼斗「ロング?」
俺 「ああ」
隼斗の"ロング"というセリフは、髪の毛の長さのことを指していると聞かなくてもわかっていた。それは、これまでたくさん話してきたからだろう。
隼斗「背も高いの?」
俺 「ああ。髪の毛をかきあげる感じはヤバいよ」
隼斗「そうなのか?」
俺 「ああ」
あの感じは、とてもヤバかった。スタイルもいいし、七海にはないものばかりだ。しかし、七海に言ったら、確実にキレられるだろうな。
隼斗「明日会うのか?」
俺 「ああ。会うの危険かな?」
聞いてきた隼斗に投げ返した。
隼斗「いや会った方が面白いだろ?」
俺 「だよな。ハハハハ」
隼斗「ハハハハハハ」
俺たちは、相変わらずポンコツだった。お互い付き合っている人が言うのに、堂々と女と会うなんてな。
俺 「プライベートで会うとまた変わるかもしれないし」
隼斗「そういうタイプって、プライベートの方が魅力的そうだけどな」
さっきより、さらに話が盛り上がっていた。
俺 「たしかに。俺、イチコロかも」
隼斗「七海ちゃんいるから、あんま遊びすぎるなよ?」
隼斗は、何かいけないことを考えているような気がする。けど、そんなことにはならないだろ。
俺 「そんなの向こうが断るだろ」
隼斗「向こうは、一人だったら守るものはないかもしれねぇぞ?」
たしかに、沢良宜が付き合っているかどうかは、まだわからない。
俺 「いやー、付き合ってそうだけどな」
いつの間にか、俺は彼女が付き合っているかどうかを考えてしまっていた。




