3月22日 高校時代25
結局、カラオケのバイトはやめずに、今日も働いていた。何してんだろう?俺は。さっさとやめて、もっと儲かるところにいけばいいのにな。自分でもよくわからなかった。カラオケのバイトは嫌だけど、それ以上に、また新しいところに登録して面接を受けるのも億劫だ。とは言え、このまま続けていてもと言うこともある。とりあえず、後1ヶ月だけ続けてみようと思った。それでも、嫌だと思ったらやめようかな。1ヶ月も経てば、もうGWも近づいてくる。陸上ができなかった俺は、残りの大学生活を悔いなく過ごすしかなかった。
ー3年前 11月5日ー
店内から出された脇谷は、どう思っているのだろうか?相手は青年だぞ。どうする気なんだろうか?さっきまで店内にいた他の青年たちも出てきた。この大勢の中、何をしようと言うのだろう?
青年「なぁ、お前大学生だろ?」
脇谷「はい、そうです」
もうナイフでも出すんじゃないかと思えるくらい、目がバキバキだった。一方の脇谷は、相変わらず冷静だった。
青年「あんま、イキるなよ」
脇谷「イキってて、すいませんね」
青年「相変わらず、鬱陶しいな」
堪忍袋の緒が切れたのか次の瞬間、青年は走り出した。俺は、慌てて脇谷の方に走りだした。脇谷も必死に抵抗しましたが、喧嘩なれしていない脇谷にはふりだった。青年は力持ちで、あっさりと横に投げ出されてしまう。次の瞬間、俺は青年から脇谷を守った。うわっ!!思いっきり右ストレートが背中に入った。そして、右膝にも蹴りが入り、一気に倒れこんだ。井端が救急車!と大きく叫んだ。ここから、あまり記憶がなくなっていく。
さっき殴りかかった青年は、店の外でしばらく立ち尽くし、俺の方を見ていた。怒りと悔しさなのか体にが震えている。他の友だちに声をかけられたのか急いで逃げるように言われたみたいだ。この店なんて、ニ度と来るか!と大きな声を上げた。青年は、そう言い捨てて、足早にその場を立ち去って行く。俺たちの友だちは、そんな青年たちを誰一人止めず、俺と脇谷の様子を見守ってくれていた。救急車が店の前まで来て、俺はタンカに乗せられ、サイレンの中、入っていくのだった。この夜、俺たちが焼肉を食べることはなかった。せっかく、ここまで来たのにな。脇谷には、申し訳ない。俺は今日起きたあの店のことを忘れることは、生涯できなかったのだった。




