2月2日 喜早旭
谷口隼斗、喜早旭、見沢大和、藤田祐希、清原晴海。コイツらは、いつも連絡を取り合う仲だ。隼斗や藤田は、この前の騒動から連絡をとっていない。今日は、いつもの洋食屋に来ていた。オススメのハンバーグ定食が来るのを待っていた。旭に会うのは、あの時のバスケ以来だろうか?確か、あの時は、8月7日だった気がする。旭の妹である柚月ちゃんに誘われて体育館に行ってバスケをしたのだった。相手は、聖徳高校女子バスケ部。負けても当然だったが、旭は違った。負けた後に悔しがる姿は、とても凄かった。
俺 「サッカーやめて、何してんの?」
旭 「今は、バイト三昧だ」
俺 「農園のやつ?」
農園のバイトは、俺が紹介したやつだ。俺は、短期のバイトだったから今はやってなかった。
旭 「そうそう。あれ、意外とキツイんだよな」
俺 「今は、どんなことしてんの?」
旭 「今は、収穫とか発注先の確認が中心かな」
旭は、結構、中心人物として働いているんだろうなと思った。
俺 「面白い?」
旭 「うーん。なんて言うかな、、。サッカーとは違った面白さだな」
俺 「そう思えるのすげーな」
旭の考えに関心してしまっていた。
旭 「そうか?やってみたら意外とおもしろくてな」
俺 「大学辞めた時の後悔とかないの?」
旭 「あぁ。あの時は、散々モメたよ」
俺 「だよな。だって、最初は大学続けるって言ってたもんな」
旭がどういう風に考えているかはなんとなく理解できた。
旭 「そうなんだよ。最初は、みんなに説得されて大学は続けようと思っててな。でも、俺の中では、サッカー部辞めると決めた時から大学も辞めることに決めてたから、最終的にはそれが決め手なんだろうな」
俺 「サッカーは?」
旭 「サッカー?」
俺 「脚治れば、サッカーできたんだろ?」
素朴な疑問をぶつけてみた。
旭 「あぁ、それはそうだな」
俺 「なんで、待たなかったの?」
旭は、困った顔をしてしまった。だが、眉間にシワをよせながら答えた。
旭 「別に怪我が理由で辞めたんじゃないから」
俺 「そうなの?」
旭 「うん」
俺 「じゃあ、なんで辞めた?」
旭は、なんとなく言いたくなさそうだった。
旭 「話せば長くなるけどいい?」
俺 「長くなるの?それは嫌だ。ハハハ」
旭 「だろ?」
これ以上何かを聞くのはイケてない。俺は、そう判断して次の話題に変えたのだった。しかし、この話は全て嘘だということに気づくのだった。