3月18日 高校時代21
何してんの?後ろから声をかけてきたのは、バイトの店長である長谷川だった。どうやら、早く休憩室から出て行けということらしい。そんなことを言われてもな。何もしたくないというのか本音だった。俺は、嫌々立ち上がり、休憩室から出ていく。部屋を出ると、そこには3人ほどのお客さんがいた。こっち見るなよ。ただでさえ機嫌が悪いのに。いろんな気持ちを押し殺し、笑顔を作った。
ー3年前 11月5日ー
いよいよ決勝。ここで勝てば焼肉だ。俺たちは、気合が入っていた。
松本「じゃあ、二人とも頑張って」
脇谷「おっけ」
俺 「おっしゃー!」
俺と脇谷は、ともに腰を下ろし、うつ伏せになった。
山瀬「頑張れよ、傑」
俺 「なんで、俺だけや」
山瀬「お前の方が弱いやろ」
俺 「は?」
コイツらに何か言われるのは納得いかなかった。けど、作戦は、一つしかなかった。先ほどの井端と同じ。スタートダッシュで勝ち、そのまま逃げきる。おそらく、俺が勝つ確率は、10%くらいだろう。けど、それでも負けるかはわからない。
松本「じゃあ、残り30秒で押すよ」
30、29、28、27、26、25。自分の鼓動が揺れているのがわかる。こんなにも聞こえるのは陸上部の時以来だ。24、23、22、21、20。ここからだ。絶対、脇谷より早くスタートダッシュを決める。そして、そのままゴールする。19、18、17、16、15、14、13、12、11。少しずつ、体の力を抜き、起き上がる下半身に力を入れる。10、9、8、7、6、5、4。よし、いくぞ。3、2、1。自分のタイミングとほぼ同じタイミングでスマホから音が鳴り響いた。完璧だ。脇谷より早く動いていたのがわかった。勝てる、さっきと同じような流れだ。
俺は、地面を激しく蹴り上げまるで風にでもなるかのように、軽やかに走りだした。いける、このままだと。しかし、横から来る。それが感じられる。まるで、まるでチーターが獲物を追うかのようなスピードで迫ってくる。俺たちの目は、ゴール一点のみ。30mを過ぎた頃、俺たちは、並んだ。やばい、抜かれる。俺は、最後の力を振り絞って、ゴールに飛び込む。しかし、俺より先にゴールに飛び込んだのは脇谷だった。くそー!!!ゴールにたどり着いた瞬間、俺は、一気に力が抜けて地面に倒れ込んだ。悔しさのあまり、何もできない。俺は大の字になって空を見上げた。




