3月15日 高校時代18
俺は、ゆっくりと家に帰っていた。久しぶりにこの道を通る。普段ならこの道は通らないけど、今日はこの道を通りたい気分だった。たまに、こういう時があるのだった。
ー3年前 11月5日ー
焼肉まで残り2勝。俺は、残り4人にまで残っていた。井端、脇谷、興梠。どいつも足が速いヤツばかりだろう。
脇谷「やるな、傑」
俺 「当たり前だ。こんだけ待ったんだ。絶対奢ってもらうからな」
ここで奢ってもらわなかったらこれまで待っていたのが水の泡だ。
脇谷「ハハハハハハ。面白いな」
コイツは、余裕さを出していた。
井端「次もoutsider入れるのか?」
脇谷「入れないよ」
ここからは、単にフラッグを取るという作業か。
井端「よっしゃあ。じゃあ、運要素なくなるな」
興梠「まぁ、どうだろうな」
興梠の言う通りだ。運要素もあるけど、どのフラッグをとるのかが重要だ。走りだけで勝負するのは、最後の決勝戦くらいだろう。
興梠「場所は?運要素じゃねぇのか?」
脇谷「あっ、そうだ」
どこだったら勝てそうだろうか?
脇谷「傑は、どこがいいの?」
俺 「真ん中がいいな」
井端「真ん中でいいの?」
井端は、驚いているみたいだった。
俺 「ああ」
脇谷「井端は?」
井端「俺は、端だな」
端は走ることに集中できるというメリットがあった。しかし、真ん中だともう一つのフラッグをとることはできないというデメリットがあった。
脇谷「興梠は?」
興梠「端だな」
脇谷「じゃあ、俺も真ん中行くよ」
順番が決まった。左から興梠、脇谷、俺、井端という順番。井端とやりやって勝てる確率と向こうの方のフラッグをとりにいく確率。どちらが高いのだろうか?
井端「よっしゃ。絶対勝つ」
脇谷「傑、こっち狙うのか?」
正直、こういう勝負に脇谷はとても強かった。このまま調子のって勝負しかけたら負ける可能性がある。かといって、井端はこの中で一番足が速い。
俺 「さぁな。自信ないのか?」
脇谷「まさか。興梠とお前なんて楽勝に勝てるから」
なめられてるな。
興梠「誰が楽勝やねん。脇谷こそ、向こう狙いに行けよ」
脇谷「負けるのが怖いのか?」
興梠「うるせぇ」
俺たちは、スタート位置に戻ってきた。ここから見ると、向こうが遠く見える。
 




