3月12日 高校時代15
目の前に出たのは、7人分のビールと唐揚げや枝豆と言ったおつまみ。今日は、先輩と飯に来ていたのだった。本当は来たくなかったけど、どうしても断れなかった。しかも、後輩は俺だけというなんとも気まずい状況だったのだ。俺は、先輩たちの話をなんとなく聞く。
ー3年前 11月5日ー
50mほど離れたところに埋められたフラッグ。彩られた色彩で輝きを放ちながら、俺たちにとられることを待っているようだ。静かな夕暮れのグラウンドに風の音とともに鼻息が聞こえる。一斉に走り出した俺たちは、フラッグに向かって一直線だった。それぞれ取りに行くフラッグが違う。俺が目指した黒色のフラッグには、横にいた山瀬が来ているのがわかった。
走り出して10mほどで俺たちは、お互いが競い合っていることがわかった。だんだん近づく私たちは、ビーチフラッグの方を向いて睨みつけていると勝手に走りながら想像していた。俺たちは、それぞれランニングウェアを着用していたけど、そこから肌を覆う汗が流れ出すほどだった。とれる!俺は、フラッグに手を伸ばそうとしたその時、横から、山瀬の体が入ってくる。このまま手を伸ばしても弾き飛ばさられる。俺は、瞬時に左を向く。左からにある緑色のフラッグは、ガラ空きだった。
こっちだ。俺は、黒色から白色のフラッグにのりかえた。見事、フラッグをとることができた。そして、そこには「Outsider」の文字もなかった。よっしゃ!!右手にとったフラッグをふった。さっきの走りでフラッグをとったのが、脇谷、松本、井端、興梠、山瀬、嶺井。そして、俺の7人だった。このフラッグを持っている中で、誰かOutsiderがいるわけか。すると、横から大きな声が聞こえた。
あああああ!!。俺たちは、一斉に声を出した山瀬を見つめた。山瀬が取ったはずのフラッグは、少し先に投げつけられたのだった。なるほど、そういうことか。どうやら、山瀬が取ったフラッグは、Outsiderだったということか。危なかった。俺があのまま黒のフラッグを取りに行っていたら、俺が勝ち進むことはなかったということになる。走力で勝っていた山瀬が負け、走力で劣っていた俺が勝つ。一瞬の洞察力が勝負をわけたのだった。俺は、不思議な気持ちを抱きながら、旗をとった、脇谷たちのもとへ駆けおり、喜びあったのだ。松本、井端はスマホのカメラを見ながら、不正がなかったかチェックをしているみたいだ。




