3月10日 高校時代13
今日は、友だちと酒を飲んでいた。つい最近も浴びるほど飲んでいた。自分の食生活の怠慢さにも嫌気がさしている頃だった。俺は、酒を飲みながら、明日のスケジュールをスマホでチェックする。どうやら、明日はバイトが入っているみたいだった。めんどくさいな。農園のバイトではなく飲食店のバイトだから、ちゃんとしないと確実にキレられる。しかし、このペースで飲んでるとこのまま酔い潰れることは目に見えていた。俺は、一旦、トイレに行き、酔いを覚ますことにした。ゆっくり立ち上がり、トイレへと向かう。どうやら、この店のトイレは、だいぶ奥にあるみたいだ。酔っている状態で、この距離を歩くのはキツイ。なんとか、トイレに辿りついた時、目の前には、よく見たことのある顔が見えた。
ー3年前 11月5日ー
俺たちが話していると山瀬が合流し、全員が揃ったのだ。脇谷が全員に説明し、いよいよビーチフラッグが始まろうとしていた。山瀬が持ってきたのは、とてもカラフルなビーチフラッグたちだった。こんなのどこにあるんだよと思うくらいだ。
フラッグは、嶺井が立てていく。その風景は、まるで静かなグラウンドに包まれた光ののような旗だった。旗は、左から、赤、青、黄、緑、黒、白、ピンクの7つが並べられた。最初は、なぜ、7つあるのか不思議だった。しかし、山瀬が言うには、この中に特別な一本があるらしい。その一本は、とったことにはならないというなんともおかしなルールを作ってきやがったのだ。
どうやら、その特別なフラッグには、鮮やかなグリーンの色で、中央には白い文字が書かれているそうだ。その文字こそが「Outsider」。脇谷が考えそうなルールだなと心の中でつぶやいた。俺たちが寮の前で騒がしくしているものだから、人が集まってきているのがわかった。こりゃあ、早くして終わらないとな。めんどくさいことになる気がしていたのだった。脇谷を呼び止めた。
俺 「早く始めようぜ」
脇谷「おっけい。じゃあ、ジャンケン始めるぞ」
みんなは頷き、大きな声が響き渡った。ジャンケンの結果、並ぶ位置が決まった。左から、脇谷、松本、井端、興梠、俺、山瀬、嶺井、眞田ということになった。フラッグ自体は、7本あるから多分とれる。だが、とったフラッグがOutsiderの可能性があるからなんとも言い難い。俺は、フラッグの位置を確認しながら、走る準備を始めた。




