2月1日 板挟み
昨日は、本当に大変だった。あの後、清原のバイト先にも行ったが、清原は、バックヤードにおり全く会えなかった。1時間待っても、スマホの返信がなかったため、諦めて、もう一度ボルダリング場に戻った。
ちょうどその頃、寝坊した隼斗がやってきたのだ。どうやら、隼斗は、前日に飲み会に行ってたらしく、とても起きれる状態ではなかったと言っていた。しかし、この言い訳に、藤田は、ブチ切れてしまった。藤田の話を聞いてると、遅刻は、今日だけじゃないらしい。だが、キレられたていた隼斗も言い返す。俺から言えば、どっちもどっちだと思うが。
俺は、ただ隼斗と藤田の話を聞きながら、場がおさまるのを待っていた。キレた藤田は、俺たちを置き去りにしてどこかへ行ってしまった。
俺と隼斗は、あっけにとられ、沈んだ気持ちになっててしまっていた。しかし、隼斗は、全く悪びれる様子はなかった。この後の藤田と隼斗の関係性を心配したのだが、隼斗は、淡々としていた。そんな二人が付き合ったのだから、驚きしかない。ただ、昨日みたいなことが続くと、別れてもおかしくないんじゃないかと思ってしまう。
藤田が帰った後、近くの公園で話をしていた。話し始めて5分もしない内に、今度は大雨が降ってくる。俺たちは、結局、これ以上いても何かすることはなかったので、解散することになった。解散する時に、今から飲みに行ってくると俺に別れを告げたのは驚いた。昔から、アイツはそうだった。なんでも、興味があれば積極的に行動できる。いつも、何かに追われているように行動していた。気分の浮き沈みもないから、とても軽いように見えてしまうのが残念だ。
隼斗のことを考えながら、パソコンを触っていた。俺は、大学に入学して二年目の時、大学を休学して全国を自転車で歩き回っていた時があった。そのため、みんなとは一学年下になっている。だから、就活をしている藤田や旭たちは、少しずつ社会に出ようとしていることを感じていた。一方、俺や隼斗は、まだまだ社会に適応することができていないでいた。
だから、藤田や旭たちとは、少しずつ距離ができてきているのも感じる。だから、手放しに藤田のことに共感することはできなかった。みんなについていくには、俺も何か変わらないといけないのだろうか?隼斗みたいに割り切って遊ぶこともできないから、俺はちょうど板挟みしている状態になっていて、自分がどっちに足を踏み出せばいいかわからない。