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2月28日 高校時代3

 高校時代最後の全国高校駅伝。あれは、俺にとって最も思い出に残った大会だった。出走前、俺たちは、5位以内という目標を掲げていた。チームプランとして、俺は、1区で3位以内でタスキを渡す。山岸、下川、松村は、10位以内。そして、5区の宮田が5位以内で戻ってくるというビジョンを描いていた。

 俺は、1区での出場。スタートと同時に俺は飛び出したのだった。後ろを振り返るも、誰もついてこない。自分が想定していたものと異なっていた。それくらい調子がよかったのか?それとも周りが調子がよくなかったのか?それは、よくわからないけど俺は、後ろを振り返ることなく前だけを見続けた。5kmを通過しても問題がなかったからそのまま、突き進むことに決めたのだった。

 結局、7kmのコースを単独走で駆け抜けた。区間賞に加えて、歴代3位という好成績で、みんなから賞賛してもらっていた。でも、後ろとの差も40秒とそこまで開けていなかったのでこれからどうなるかという不安はあった。

 そんな俺の予感は的中してしまった。2区の山岸は、俺が作った2位との貯金を全て使い切る。いつもより、足が動いていない。走り方も本来とはかけ離れていた。そして、3区に着いた頃には、結局3位まで抜かされいた。

 そして、この悪い流れはこの区間でも続く。3区の下川は、並走していた別の高校の選手にペースを崩される。次から次へと抜かされていく。俺は、3区から下川の到着を待つがなかなかやって来なかった。

 そして、4区の松村にタスキが渡ったころには、もう14位となってしまっていた。さらに、松村のすぐ後ろには6人ほどの集団がやってきており、1分ほどでその集団に飲み込まれるように入ってしまっていった。下川同様、ペースを完全に乱され、その集団の中で一番最初に抜けて落ちてしまったのだった。

 アンカーの宮田がタスキを受け取った時は、すでに20番目だった。誰もが諦めていたが、彼だけは違った。松村からタスキを受け取ると、左手を挙げながら大きな声を叫んでいた。俺たちは、車に乗り、宮田が向かうゴール地点に向かっていた。俺は、宮田が何かやってくれるんじゃないかという期待はあった。

 もともと力はあるということに加えて、これまでのレースでほとんどミスがない。宮田は、走り出していきなり下川が抜かれた各高校の選手たちを捉えた。抜いても並ぶことはない。風のように抜いていく宮田は、安定の滑り出しだった。

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