2月22日 会社
俺は、ケースを持ちながら、倉庫に運んでいた。冬の寒さもあり、自分の吐く息が白くなっていることがわかった。倉庫に着いた俺は、山本さんを探した。軽トラの後ろに山本さんがいることに気がついた!
俺 「山本さん!」
前方から返事が聞こえてきた。
俺 「ここ置いときますよ?」
先ほど収穫した野菜と果物が入ったケースを置いた。
山本「おお。ありがとう!」
俺が気を効かして持ってきてくれたのをわかったみたいだ。
俺 「いえいえ、大丈夫です」
山本「そろそろ、上がっていいぞ?」
倉庫にある時計は、もう16時を過ぎていた。
俺 「わかりました」
両手につけていた手袋を取った。
山本「なんか、見つかったか?」
心配そうに俺の方を見てきた。
俺 「そうですね。なんとか、一歩を踏み出せた気はします」
山本「そうか!あんま無理するなよ」
まるで、お母さんの様な温かさを感じた。
俺 「ありがとうございます」
手に取った手袋をポケットの中に突っ込んだ。
山本「お前、冬本って知ってるか?」
俺 「冬本ですか?」
誰だろう?全く知らない。
山本「そうだ」
俺 「いやー、知らないですね。何者ですか?」
単刀直入に聞いてみた。
山本「お前と同じ大学生だよ」
俺 「そうなんですね」
大学生かぁ、、、。
山本「ああ。でも、もう会社作ったりしてて、相当大したもんだよ」
なんだ?大学生でそんなことできるのか?心の中でフツフツと何かが溜まっていく気がした。
俺 「会社ですか?」
山本「そうだ。なんか、今、メディアに取り上げられているみたいだ」
山本さんは、とても楽しそうに語っており、どこか嫉妬している自分がいた。
俺 「山本さん、会ったことあるんですか?」
山本「会ったことあるとかじゃなくて、ここでバイトしてたんだよ」
俺 「えっ、そうなんですか?」
驚きで言葉が出てこない。
山本「ああ」
俺 「今は、来てないですよね?」
山本「いや、たまに来てるよ」
自分が知らないうちに、ここのバイトもいろいろおきてるんだな。
俺 「そんな人いるんですね」
山本「ああ。まだ、大学生だし。凄いよな」
俺 「俺、その人に会ってみたいです」
衝動的に話をしてしまっていた。この発言がこのあと、とんでもないことにつながってしまうなんてな、、、。
 




