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2月11日 東京予選Ⅲ

 俺は、朝から机に座っていた。あの日の旭のように真剣に自分と向き合おうと思ったのだった。


 ー2月9日ー


 前半は、残り5分となっていた。2点目を江南大学の緑山が決めてから、江南大学の猛攻が始まる。城南大学にとって苦しい時間が続く。江南大学は右サイド、左サイドとサイドチェンジを繰り返す。そして、中央が空くとそこから攻めてくる。あらゆる方向から襲いかかり、城南大学のDF陣の体力も大きく消費していた。

 江南大学は、サイドチェンジを繰り返すが、最後は、緑山をにボールが渡ることが多い。城南大学も彼にボールが渡るのを恐れており、だんだん攻撃陣も下がっていく。残り3分。キーパーの金子やディフェンスの畑川が立て続けにボールをクリアする。

 城南大学がひたすら守るという構図が続く。城南大学がボールを奪っても、クリアするのが精一杯で、すぐにボールをとられてしまう。なかなか、周りが前に行くことができないため、FMの大屋は、孤立してしまっていた。それでも旭は、俺にくれとアピールを続ける。

 旭は、走りながらボールを要求する。ボールは、柴山から旭へとつながった。旭は、ドリブルしながら前へと進む。旭は、右脚でボールを上げた。ボールは、久保、外山とつながる。そして、大屋に渡ったら、そのままダイレクトボレーを放った。大屋が蹴ったボールは、江南大学の桜井の体に。主審は右手を挙げた。

 なんだろう?オフサイドか?それともファールか?俺は、テレビ画面を一心に見つめた。主審は、ハンドのサインを出した。自分の胸がガッと熱くなった。この位置でのハンドは、おそらくPKになるだろう。テレビ画面頭上の時間を見ると、44分になっていた。

 城南大学の選手が何人かで話し合っていた。恐らく、誰がPKを蹴るのかということだろう。テレビの解説者は、大屋、外山、旭の3人の中の誰かが蹴るのではないかと話していた。来いよ、旭。俺は、願うようにテレビを見つめた。

 ボールをセットしたのは、なんと旭だった。決めろよ、決めろよ。俺は、かなり前からテレビを眺めた。主審が笛を鳴らすとともに、旭は、キーパーを見つめた。そして、短い助走からボールを振り抜いた。

 ボールは、キーパーが一歩も動けない真ん中上に決まったのだった。気づいたら、俺も家の中で大きな声を出していた。自分の友だちとはいえ、やっぱり嬉しい。ボールを蹴った旭は、仲間を呼びながら、ベンチへと走り出した。それに集まるかのうように、柴山や大屋たちがやってきた。

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