2月10日 東京予選II
昨日の一戦から、一夜明け、俺は旭に連絡した。忙しかったのか、既読はついたが、返信はこなかった。俺は、いつものようにバイトを向かうのだった。旭のように、俺も何か熱中できるものはないだろうか?昨日の熱戦を見てからか、この前と比べると余計そう思うようになっていた。
ー2月9日ー
試合は、1対1。江南大学の緑山、城南大学の旭。決勝戦となるとスタンドには多くのお客さんで埋まっていた。俺は、旭を応援しているというより、いつの間にか試合に熱中することになっていた。試合は、1対1の攻防が続く。どちらも、決定的チャンスを作るも、なかなかゴールネットを揺らすことはできていなかった。
試合は、前半32分。このまま、試合が動かず後半を迎えるのだろうか?城南大学の両サイドの柴山と久保が果敢に相手ゴールを狙う関係で江南大学のDFラインを下げることができていた。しかし、江南大学のキーパーである山下が大屋や旭たちのシュートを抑えていた。山下は1m90cmと恵まれたフィジカル。DF陣も必死に足を伸ばしてゴールを阻止していた。
キーパーの山下は、ロングボールをいれる。桜井、野地のMFがラインをわりそうなボールに必死に食らいついた。そして、ボールはギリギリのところで江南大学がキープをし続ける。プレッシャーをかけにいった畑川だったがあっさり抜かれる。しかし、今度は、城南大学の中釜が体を入れる。桜井もボールをキープしようとするが、中釜が厳しくマークする。
すると、ピッチ上に笛が響いた。中釜のプレッシャーは、ファールをとられた。嫌な位置からのフリーキックとなる。中園がペナルティエリア右にいた山下に向かってボールを蹴った。キーパー前は、ごった返していた。一度は、山上がボールを出そうと遠くに蹴ったが、すぐさま江南大学のボールになった。
そして、桜井から野地へ。そして、野地からエースの緑山へパスがつながる。そして、城南大学のゴールキーパーである金子を冷静に見ながら、右足でこの日2点目となるゴールを決めた。試合の流れを江南大学へと傾けると2点目。江南大学は、エースを囲む歓喜の輪ができていた。
俺は、悔しさからか歓喜の輪ではなく、城南大学の選手を見つめていた。こんな時、旭は、どんな顔をしているだろう。一瞬、旭が切り取られてた。しかし、旭は満面の笑みを浮かべていた。全然、余裕じゃん。旭。心の中が熱くなった。




